米Appleは、Mac用のメインプロセッサーを米Intel製からArmベースの自社設計SoC(System on a Chip)「Mシリーズ」に変更し始めた。そんな中、2021年5月に発売した新型の「iPad Pro」では、メインプロセッサーに「M1」を搭載した。iPad ProはMac系列になったのか。部品レベルで調査した。
新型の「iPad Pro」(以下、iPad Pro(2021))は、Appleのオリジナルチップ「M1」をメインプロセッサーを担うSoCとして搭載した。これまでiPad Proシリーズは、iPhone用のSoC「A」シリーズの改良版が用いられてきた。
AppleがM1を開発する目的は、Intelに依存してきたMacシリーズ向けのメインプロセッサーを自社設計として「手の内化」するとともに、iPhoneやiPadと同じArmアーキテクチャーで統一することにある。20年11月に発売した「MacBook Air」(以下、MacBook Air(2020))、「MacBook Pro」(以下、MacBook Pro(2020))、「Mac mini」を皮切りに、21年5月に発売した「iMac」にもM1を搭載した。
差がなくなったiPad ProとMacBook
ここで疑問として浮かぶのは、iPad ProはM1を搭載したことで、MacBookと同じプロダクトラインの製品になっていくのかということである。実際、仕様を比較してみると、iPad Pro(2021)とMacBook Air(2020)/ MacBook Pro(2020)には、性能に関する部分では、ほとんど違いがない(表1)。iPad Pro(2021)には、キーボードがないが、別売のMagic Keyboardを付ければノートパソコンのように使える。明らかに違うのは、iPad Proはタッチパネルやペン入力に対応し、背面カメラがあること、LiDARやジャイロ/加速度など各種センサーが付いていることだ。
では内部的にはどうなのか。iPad Pro(2021)、MacBook Air(2020)、MacBook Pro(2020)のメイン基板に搭載されているICを分析することで、違いを調べてみた。分析には、フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズの協力を得た。