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 マツダが2021年度第1四半期(21年4~6月)の連結決算で、新型コロナウイルス禍の前の実績(19年度第1四半期、以下同じ)を上回る営業利益を確保した。車載半導体不足の影響を最小限に抑えたことで、世界販売台数も新型コロナ禍の前の水準に戻った。

 21年7月30日に電話会議システムを用いて開催した連結決算会見で、同社常務執行役員の藤本哲也氏は「在庫台数の管理や市場への車両の供給方法の見直し、現在進めている事業構造改革などが寄与した」と述べた(図1)。

藤本哲也氏
図1 マツダ常務執行役員の藤本哲也氏
(20年2月に日経Automotiveが撮影)
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 半導体不足の影響によって、マツダは21年度(21年4月~22年3月)に世界で約7万台の減産を見込む。21年度第1四半期の減産台数は、2万台を超えたとみられる。減産の影響を最小限に抑えるため、車両在庫の状況を週次で把握し、効果的な生産計画を立てられるようにした(図2)。

米国における在庫効率化の取り組み
図2 米国における在庫効率化の取り組み
(出所:マツダ)
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 その上で、米国やオーストラリアなど販売が好調な市場に、車両を優先的に出荷した。こうした対策によって、21年度第1四半期の世界販売台数は35万3000台となり、コロナ禍の前の水準に戻った。

 さらに、固定費の徹底した削減や販売手法の見直しなどを柱とする「事業構造改革」の効果によって、同社の損益分岐点台数(営業利益を確保できる生産台数)は下がっているとする。20年度(20年4月~21年3月)は101万5000台だったが「21年度第1四半期は、年率換算で100万台を大きく下回った」(藤本氏)という(図3)。

損益分岐点台数の推移
図3 損益分岐点台数の推移
(出所:マツダ)
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 世界販売台数の回復や損益分岐点台数の低下によって、21年度第1四半期は261億円の営業利益を確保し(前年同期は453億円の赤字)、コロナ禍の前の実績(70億円の黒字)を大きく上回った。

 ただ、半導体不足の影響については、22年度(22年4月~23年3月)も続くという見方が広がっている。藤本氏も「いつ収束するかは、現時点では読み切れない」と話す。また、東南アジアにおいて新型コロナ変異株(デルタ型)の感染が急拡大し、現地で部品の供給不足が顕在化している。原材料価格の高騰という問題もある。

 こうしたリスク要因があるため、21年度通期の世界販売計画と業績予想は、当初(21年5月時点)の見通しを据え置いた。世界販売台数は前年度比で9.5%増の141万台を計画し、営業利益は同637%増の650億円を見込む。