全2279文字
PR

 岡山市の実家に暮らす年老いた母親のために、IoT系の見守りシステムを導入した。筆者は、横浜市に居を構えている。2021年の11月で90歳になり、独り暮らしをしている母親だけに、息子としては、彼女の日々の状況は気になる。2020年末に父親が他界して独りになったこともあり、その思いはますます強くなっていた。

 彼女は10年前に自転車で転倒、骨折し、人工関節を入れて以来、完璧な歩行ができなくなった。それでもつえを使いながら、500メートルほど離れたスーパーマーケットにカートを引きながら買い物に出かけたり、バスやタクシーを使って岡山市中心部のデパートに出かけたりしている。話していても思考は明瞭だし、判断力もしっかりしているので、喫緊の課題として介護や生活補助が必要というわけではない。

 ただ、何らかの安否確認の仕組みは必要であろうという思いがあった。一応、地域の民生委員や両隣の住人には、挨拶はしてあり、有事の際には対応をお願いしようとは思っているのだが、それはあくまでも緊急時の話だ。

 これは余談だが、岡山県倉敷市真備町に大きな被害をもたらした2018年7月の豪雨では、実家から約300メートルしか離れていない裏山で大規模の土砂崩れが発生し、ニュースで知ったときは肝を冷やしたものだ。

この土砂崩れでは、幸いにして人命への影響はなかった。3年を経過して地肌が草に覆われている。ただ、樹木の回復までは、まだまだ遠い道のりのようだ
この土砂崩れでは、幸いにして人命への影響はなかった。3年を経過して地肌が草に覆われている。ただ、樹木の回復までは、まだまだ遠い道のりのようだ
(筆者撮影)
[画像のクリックで拡大表示]

 電話口の向こうで、「避難指示が出ているのは知っているが、雨も降っているし、お父さんも腰が痛くて歩けないって言っているし、家にいる」と笑いながら話す彼女の声を聞きながら、安心するやら、恐ろしくなるやらで、遠隔地で何もできない自分にもどかしさを感じたものだ。