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 米国シリコンバレーに開発拠点を設ける新興企業OPENER(オープナー)が、電動の垂直離着陸(eVTOL)機「BlackFly」を2021年秋から出荷する。コロナ禍もあり、当初の予定より遅れたものの、ようやく実用化にこぎ着けた。出荷開始に先立ち、同年7月26日~8月1日までウィスコンシン州オシュコシュで開催された航空機関連の世界最大級イベント「EAA AirVenture Oshkosh 2021」に実機を出展した。加えて、2機を使った飛行デモを見せた。飛行デモを一般公開するのは今回が初めて。多数の来場者から注目を集めた。

オープナーの出展エリア
オープナーの出展エリア
屋外の他、写真内の建物の屋内にも1機、合計2機の機体を展示していた。(撮影:日経クロステック)
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 オープナーは、米Google(グーグル)の創業者の1人であるLarry Page(ラリー・ペイジ)氏が出資していることで知られる。もともとオープナーは、創業者でCEOのMarcus Leng氏が、2009年にBlackFlyのコンセプトを着想したことをきっかけに生まれた。カナダで研究開発を進め、今から10年前の11年に試作機で有人飛行に成功。その後、14年から2014年9月に組織をオープナーとして再編成し、研究開発の活動の大部分をシリコンバレー(パロアルト)に移した。同社はしばらく「ステルスモード」で研究開発を進め、18年のAirVentureで初めて機体を披露した。

オープナーのLeng氏
オープナーのLeng氏
(撮影:日経クロステック)
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 BlackFlyは、1人乗りの機体である。前方の固定翼と後方の固定翼にそれぞれ4つ、計8つの回転翼(ローター)を備える。2次電池(バッテリー)の電力でインバーターを駆動してモーターを回し、ローターを回転させる「フル電動」の機体である。モーターとインバーターの数はいずれも8つで、カスタム設計品だという。

 サイズは幅13フィート7インチ(約414cm)、奥行き13フィート5インチ(約409cm)、高さは5フィート(約152cm)にとどまる。安全のために、いくつかのローターが故障しても飛行できるようにするなど、冗長性を確保している他、緊急着陸用のパラシュートを備える。

 この他の仕様は、米国版とインターナショナル(国際)版でやや異なる。米国版では、搭載する2次電池の容量は8kWh。ペイロード(可搬重量)が200ポンド(約90.7kg)時で、予備として電池残量を20%確保する場合、航続距離は25マイル(約40.2km)である。巡航速度は最大で時速62マイル(約99.8km)である。国際版は、それぞれ12kWh、40マイル(約64.4km)超、時速80マイル(約128.7km)超となっている。

 機体の重さと最大ペイロードは米国版しか公開していなかった。それぞれ、343ポンド(約155.6kg)と200ポンド(約90.7kg)である。軽量化のために、炭素繊維複合材料を利用している。

 BlackFlyは、競合のeVTOL機に比べて、少々変わったフォームファクター(形状)を取る。それは、離着陸や巡航の方法に由来する。