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 データリテラシー向上を目標としたり、社内でデータサイエンティストを育成したりする企業が増えています。近年は思いもよらない背景からビジネスの状況が大きく変化することが増えているため、過去の経験だけを基にした意思決定では適切な判断を得られないことが少なくありません。顧客動向や社内状況をデータで押さえながら意思決定することが不可欠になっているのです。企業全体の意思決定に関わるマネジメント層はもちろん、全ての社員がデータに対する一定の理解やスキルを持っていることが重要です。そこで本記事では、実務の現場でデータ分析に取り組む際のスキルを基本から解説します。

 この特集の前回の記事では、データ分析ならびにデータサイエンスとは何かの基本を解説しました。データサイエンスは自分なりに設定した「課題」に対して、データの分析結果を基に何らかの知見や洞察を導き出すものです。

 企業のビジネスおける「課題」は、ビジネス上の「あるべき姿」と「現状」とのギャップを見ていくと明らかになります。例えば前回の記事では「競合に顧客を奪われ、売り上げが急減している。客単価は下がっていないので、顧客の数を取り戻すのが課題」というケースを紹介しました。

 しかし、この「課題」だけではどんなデータを見たらいいのか分かりません。データ分析には、もっと細かくて具体的なたくさんの「問い」が必要です。今回は「課題」の背景をさらに考察し、具体的なデータ分析に結びつく「問い」を立てる方法を解説します。

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課題・問い・データの相互関係を理解しよう

 eコマースを例に、先ほどの「競合に顧客を奪われ、売り上げが急減している。客単価は下がっていないので、顧客の数を取り戻す」ケースを「課題」と想定して「問い」の立て方を見ていきましょう。

 「問い」を立てるには、まず「課題」を構成する要素は何かを考えます。今回の「課題」のポイントとなる変数(以降、「興味のある変数」)は売り上げですから、売り上げと関係のある要素には何があるかを検討しましょう。「Webサイトへの流入数」「マーケティングメールの本数」「営業担当者の数」などが考えられます。なお、こうした社内で既知の要素(以降、「観測事象」)のほかにも、実際にはまだ知られていない要素(以降、「未観測事象」)も相互に関係しつつ「興味のある変数」(今回の例では売り上げ)に影響しています。

ビジネスの理想と現実のギャップから「課題」を抽出
ビジネスの理想と現実のギャップから「課題」を抽出
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