欧州連合(EU)は2021年4月、人工知能(AI)の利用を制限する包括的な規制案を公表した。背景にあるのが、不適切な学習データによってAIの出力に差別や偏見が生じたり、AIの精度が不十分なため利用者がデメリットを被ったりといったAI関連トラブルの増加だ。

 AIを開発・運用する企業がこうしたトラブルを回避するには、AI開発の進め方を全社レベルで統制する「AIガバナンス」の整備が不可欠だ。AIガバナンスの確立に向けた企業の取り組みを事例とともに紹介する。