「NAロードスター」(マツダ)、「Z2・Z1」(川崎重工業)といったかつての名製品が、今でも数万台規模で現役だ。それらを動かし続けられるよう、メーカーがレストアサービスや部品の復刻生産を手掛けている。「AIBO」(ソニー)の修理を手掛ける企業には数千人のユーザーが助けを求める。20~30年の時を経て、製品に強い愛着を持つユーザーは、他には代えられない価値を製品に感じている。そのような価値を維持するためには、必ずしも昔の通りに製品や部品を復活すれば良いとは限らない。その実際を5つの事例で見ていく。

よみがえる名製品たち
目次
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海底から帰った零戦が問う、産業遺産の「オリジナル」が持つ価値
Part2 復活プロジェクト 零戦
2022年1月に茨城県筑西市での開館を目指している「科博廣澤航空博物館」で、零式艦上戦闘機(零戦)の修復作業と展示準備が終盤を迎えている。この零戦は東京・上野の国立科学博物館に20年7月まで展示されていた機体で、分解されて科博廣澤航空博物館に運ばれた後、再び組み立てられた。かつての日本の航空機技術…
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金属3Dプリンターで復活した、半世紀前のレトロな路面電車車両
Part2 復活プロジェクト モ353(路面電車)
阪堺電気軌道(大阪市)は1963年製の路面電車「モ353」(モ351形)の幾つかの機能部品を復刻し、2021年に営業運転を開始した。特徴的なのが、復刻した金属部品の製造方法としてアディティブ製造装置(3Dプリンター)を採用した点だ。
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1970年代の大ヒット2輪車Z2・Z1、シリンダーヘッド待望の復刻
Part2 復活プロジェクト Z2・Z1
「カワサキ」ブランドの「Z2」(モデル名:750RS)と「Z1」(同900 super4)といえば、1970年代に発売された大型2輪車の大ヒットモデル。「希代の名車」「空前絶後の傑作」などと形容され、製造した川崎重工業自身も「大型2輪車市場におけるカワサキの地位を決定づけた歴史車」と位置付ける。
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AIBO修復の駆け込み寺、無償の「献体」や葬式も
Part2 復活プロジェクト AIBO
「製品を生み出すと同時にその終わりまでを考えるのがものづくりだと思います」─。こう語るのは、AV(音響・映像)機器の修理会社「ア・ファン ~匠工房~」(千葉県習志野市)代表取締役の乗松伸幸氏である。
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設計コンセプトに立ち戻り、NAロードスターへの愛着再び
Part2 復活プロジェクト NAロードスター
マツダが、かつての名車の復活に力を入れている。サービス事業「CLASSIC MAZDA」により、現存する「NAロードスター(初代ロードスター)」を新車だった時と同様の品質によみがえらせる「NAロードスターレストアサービス」や、ロータリーエンジン車「RX-7」の復刻部品生産を手掛けている。
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名製品だけが持つ深い感情的価値、どう復活するのか
Part1 愛される製品
マツダが1989〜98年に販売した「NAロードスター(初代ロードスター)」。発売後約30年たった2017年、新車同様によみがえらせる「NAロードスターレストアサービス」を同社は開始した。川崎重工業も、1970年代に販売された大型2輪車「Z2」「Z1」のシリンダーヘッドの再生産を2019年に決定、既…