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 DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みが既に6年目に入ったSOMPOホールディングス(HD)は、2021年4月から新たな事業の柱に「デジタル」を据えた。国内外の有望スタートアップと組んで、データを基に新事業を起こすだけでなく、既存事業も変革している。けん引役となる経営陣はDXをどう推し進めようとしているのか。キーパーソン4人への一問一答でひもとく。

 第1回はSOMPOHDの桜田謙悟グループCEO(最高経営責任者)社長の一問一答である。なお、2021年8月3日に掲載したインタビューの未掲載部分でもあるので、掲載済み記事も併せてお読みいただきたい。 関連記事: データを基にどう「本業」変える?SOMPOHD桜田社長に危機感と覚悟を聞く

(聞き手は浅川 直輝、外薗 祐理子)

桜田 謙悟(さくらだ・けんご)氏 SOMPOホールディングス グループCEO(最高経営責任者)社長
桜田 謙悟(さくらだ・けんご)氏 SOMPOホールディングス グループCEO(最高経営責任者)社長
1956年東京都生まれ。1978年早稲田大学商学部卒業、安田火災海上保険(現損害保険ジャパン)入社。金融法人部長や最高情報責任者(CIO)などを経て、2010年7月に社長就任。2012年4月にNKSJホールディングス(現SOMPOホールディングス)社長に就任。経済同友会代表幹事も2019年4月から務めている。(写真:村田 和聡)
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2007年に損害保険ジャパンのCIO(最高情報責任者)に就任しました。もともとITに関心はあったのですか。

 私は学生時代からコンピューターをいじることが好きで、新しいパソコンが出たらとにかく買いたいというタイプでした。例えばNECの「PC-9800シリーズ」とか。新品は買えませんから中古品を買っていました。ですから、もともとITに関心はありましたね。

 CIOに就任し、もっと経営者らしいことを考えなくてはと、私が注目したのは「保険会社とは事務の塊である」という事実です。しかもその事務が難しいのです。

 紙に印刷して積み上げれば1メートルぐらいになるような規定集がたくさんあって、それに沿って保険申込書や契約書をつくらなければなりません。100点満点の契約書をつくるのは難易度が非常に高い。

 私なんて一度もできたことがありません。研修などで保険事務の試験を受けると、順位は下から数えたほうが早かった。正しい保険料率をきちんと算定できない人だったのです。

 最初に配属されたのは海上保険(を扱う部門)で、幸いにも規定が少ない分野でした。考え方の筋道さえしっかりしていれば、保険料率には幅を持たせられる。それは私の得意分野で、居心地が良かったのですが……。

人間は人間にしかできないことに注力しよう

 そんな訳で、保険事務はコンピューターにやらせればいいじゃないかとずっと思ってきました。怠け者の発想かもしれませんが、機械にできることは徹底的に機械にやらせて、人間は人間にしかできないことに注力しようと。

 そうした発想の下、CIOとして「リテールビジネスモデル革新プロジェクト(PT-R)」を始めました。契約手続きにタブレットを導入し、申込書を電子化するといったプロジェクトです。

 その裏側でシステムの再構築にも力を入れました。手続きのペーパーレス化を進め、保険料率などは自動的に算定できるようにしたのです。

デジタル事業に注力することにしたのはどんなきっかけがあったのですか。

 損保ジャパンのCIOに就任した頃からデジタルディスラプション(デジタル技術を使った創造的破壊)をずっと見てきて、ディスラプター(破壊者)を脅威に感じていました。

 彼らは既成概念にとらわれていません。もしルールがあれば、いい意味でルールを壊しにいこうとします。だから怖いのです。

 ディスラプターの武器はテクノロジーです。テクノロジーが先にあって、どの分野に進出するかは後付けです。

 かつてシンガポールで開催された国際シンポジウムで、パネルのモデレーターを務めたことがあります。米Google(グーグル)の幹部がパネリストの1人でした。