全3062文字

 DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みが既に6年目に入ったSOMPOホールディングス(HD)は、2021年4月から新たな事業の柱に「デジタル」を据えた。国内外の有望スタートアップと組んで、データを基に新事業を起こすだけでなく、既存事業も変革している。けん引役となる経営陣はDXをどう推し進めようとしているのか。キーパーソン4人への一問一答でひもとく。

 第2回はSOMPOHDの楢崎浩一デジタル事業オーナー兼グループCDO(最高デジタル責任者)執行役専務の一問一答である。2021年7月に立ち上げたデジタル事業子会社「SOMPO Light Vortex」のCEO(最高経営責任者)も務める。

(聞き手は外薗 祐理子、高槻 芳、馬本 寛子)

楢崎 浩一(ならさき・こういち)氏 SOMPOホールディングス デジタル事業オーナー兼グループCDO(最高デジタル責任者) 執行役専務
楢崎 浩一(ならさき・こういち)氏 SOMPOホールディングス デジタル事業オーナー兼グループCDO(最高デジタル責任者) 執行役専務
1981年三菱商事入社。2000年から米国で複数のICT系企業を設立・経営。2016年5月SOMPOホールディングスのグループCDO就任。2021年4月から現職。Palantir Technologies JapanやSOMPO Light VortexのCEOも兼務。(写真:村田 和聡)
[画像のクリックで拡大表示]

2021年7月、SOMPOHDはSOMPO Light Vortexを設立し、楢崎さんがCEOに就任しました。設立の理由を教えてください。

 私は2016年にSOMPOHDに入社しました。当時から桜田(謙悟グループCEO社長)とは「縦のデジタルと横のデジタル」についてずっと議論してきました。

 2021年3月末までSOMPOHDには国内損保事業、国内生保事業、海外保険事業、介護・ヘルスケア事業(2021年4月から「介護・シニア事業」に名称変更)の4つの事業ユニットがあり、それぞれに事業オーナーがいました。これらを縦の4本柱とすると、CDOである私は横串のデジタルに関して最終責任を負います。デジタルの価値を誰に届けるかといえば、社内の各事業ユニットです。

ほとんどのCDOは「助手席に座っている」

 言ってみれば、運転手は各事業オーナーで、私は助手席に座って(デジタルの)アドバイスをするという構図でした。今、世界でほとんどのCDOやデジタル部門はそういう仕事をしていますよね。

 (横のデジタルを整備するだけでなく)縦のデジタルもあるべきではないか。桜田とはそういう話をしていました。

 自らデジタルを使って事業を立ち上げ、収益を稼ぐ。既存の事業ユニットでは手掛けないような新しい価値を世の中に届けよう。そうした思いから、2021年4月1日にデジタル事業という5本目の柱をつくって、私がグループCDOと兼任する形で事業オーナーに就きました。

 SOMPO Light Vortexはデジタル事業の運営子会社です。なぜ新会社を立ち上げたかというと、SOMPOHDの「デジタル事業ユニット」はHDの「横のデジタル」を担ってきたデジタル戦略部と(メンバーが)同じだったからです。縦のデジタル中心に携わる人と横のデジタル中心に携わる人を分けるべきだと考えました。

 それからSOMPOHDはそもそも保険事業を主体としたSOMPOグループの経営管理をする持ち株会社ですから、デジタル事業の運営会社を別途立ち上げるほうがいいとの判断もありました。SOMPOHDの100%子会社ですが、あくまで別会社です。

デジタルの渦中にあって命懸けで変革を遂げる

SOMPO Light Vortexという社名にはどんな意味を込めましたか。

 スイスのビジネススクールIMDのマイケル・ウェイド教授らが『Digital Vortex』(日本語版は『対デジタル・ディスラプター戦略 既存企業の戦い方』、日本経済新聞出版)という本を出版しました。Vortexとは渦という意味です。

 デジタルの渦によって世の中の既存ビジネスが破壊されてしまうとするその本に影響を受けました。デジタルの渦や竜巻の中にあって命懸けで変革を遂げて生き残るという私の覚悟を込めてVortexを採用しました。

 ただ保険会社が渦とか竜巻とか言うとあまりいいイメージがありません。そこで物理学用語で「光渦(らせん状の波面を持つ光のこと)」を意味する「Light Vortex」としました。

Light Vortexは中長期に1000億円の売り上げ規模を目指すという目標を掲げています。いつまでに達成しますか。

 2030年までを目標にしています。しかし私はもっと早くできなければ駄目だと思っています。