2021年8月11日から停滞する前線の影響で大雨が降り、全国で土砂災害や水害による被害が相次いでいる。総務省消防庁によると、17日午前8時時点で建物の被害は4454棟。人的被害は死者4人、行方不明者は4人に上る。前線は8月20日ごろまで日本付近に停滞する見込みで、新たな洪水や土砂災害の発生する恐れがある。
長崎県雲仙市小浜町では13日、急傾斜地の土砂災害警戒区域(イエローゾーン)内の土砂が幅約50mにわたって崩れた。少なくとも住宅2棟が押し流された。17日の時点で1人が死亡、2人が行方不明だ。気象庁によると、被災地の近くの観測点「雲仙岳」では、13日午前8時20分までの24時間雨量が観測史上最大となる571.5mmに達した。
長野県岡谷市では15日午前5時半頃に、土石流が発生。住宅が土砂に巻き込まれ、3人が死亡した。気象庁によると、現場から最も近い観測点「辰野町」では、降り始めの12日から15日午前5時までの総雨量が379mmに達した。
被災した範囲は、急傾斜地の土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)と土石流のイエローゾーンに指定されていた。長野県と長野地方気象台は14日午後1時半頃、岡谷市に「土砂災害警戒情報」を発表。災害の危険度を示す5段階の「警戒レベル」でレベル4に相当する。岡谷市は同日午後5時20分に、警戒レベル3の「高齢者等避難」を発令したものの、警戒レベル4の「避難指示」に切り替えたのは土石流が起こった後の15日午前6時だった。