技術開発や標準規格のアップデートに伴い、パソコンや周辺機器のスペックは複雑さを増し、本質的な違いが分かりにくくなっている。その違いで実際の便利さや使い勝手はどう変わるのか。周辺機器の最新スペックを見極める。
液晶ディスプレイは方式の違いがどう影響する?
液晶ディスプレイが使用する液晶パネルには、仕組みの違いでいくつかの方式がある(図1)。パソコンでの主流はIPS方式だ。色の再現性が高く、画質が良いとされる。一方、VA方式は仕組み上、黒の表示が得意で、コントラスト比が高いことが特徴。TN方式は応答速度が高いことがメリットとなる。
液晶ディスプレイの斜め方向からの見え方にも、方式の特性による違いがある。「視野角」として製品仕様に記載されることもあるが、この場合の視野角はコントラスト比が10:1を維持できる角度。10:1は表示内容がほぼ判別できない程度なので、「視野角はきちんと見える範囲のことではない」(EIZO企画部マーケティングコミュニケーション課の千早碧氏)という。
視野角とは別に、斜めから見たときの色合いや明るさの変化も確認しておこう(図2)。ただし、これらについて指標となる数値はない。一般に、TN方式の液晶はこの変化が顕著だ。ノートパソコンの正面で操作する範囲なら不便に思うことは少ないが、他人に画面を見せる機会が多い用途では注意したい。できるだけ実機で確認した方がよい。
表示の「速さ」にも注目
ゲーミングパソコンや液晶ディスプレイの上位機種では、表示の「速さ」をアピールする製品が増えている。この速さとは、主にリフレッシュレートと応答速度を指す(図3)。
競技性の高いゲームでは、高リフレッシュレートの液晶ディスプレイを使うことが好成績につながりやすい。リフレッシュレートが高いと画面が瞬時に切り替わるので、その分、ゲーム中に素早く反応して操作できるからだ。リフレッシュレートの高さを生かすための応答速度も、スペックとして重要視されている。
速さのメリットはゲームだけにとどまらない。リフレッシュレートが上がると、低速では間引かれていた部分が表示されるようになり、滑らかに動いて見える(図4)。応答速度が上がると残像感も抑えられる(図5)。フレームレートの高い動画コンテンツの再生でメリットがある。