技術開発や標準規格のアップデートに伴い、パソコンや周辺機器のスペックは複雑さを増し、本質的な違いが分かりにくくなっている。その違いで実際の便利さや使い勝手はどう変わるのか。周辺機器の最新スペックを見極める。
USB PD機器同士の受給電仕様とは?
USB PD(Power Delivery)はUSB Type-C端子で最大100Wまでの給電ができる規格だ。電圧は5~20Vまで4段階、電流は最大3Aまたは5Aの2段階があり、対応機器同士が自動で適切な値を選ぶ(図1)。最大出力は、全ての対応機器が100Wに対応しているわけではなく、最大18W(9V/2A)や最大45W(20V/2.25A)など製品の仕様によって決められている(図2)。
USB PDでは給電側を「ソース」、受電側を「シンク」と呼ぶ。給電する際は、ソースとシンクの双方が備える「Power Data Objects(PDO)」のリストを突き合わせ、共通するPDOの中で最も高い電力を選択する(図3)。こうすることで対応する電力の仕様が異なっても給電できる。
残念なのは、USB PD対応機器同士で給電可能かをスペックで確認できないこと。ノートパソコンを筆頭に、シンク側の機器の多くはPDOのリストを公開していないからだ。しかも、低電力のPDOを持っていない場合は低出力のACアダプターから受電できない。デル・テクノロジーズの「Inspiron 14(5405)」と日本HPのHP Spectre x360 14-eaで試したところ、前者は45W以上、後者は30W以上のACアダプターから受電できた。こうした仕様は、実際に試さないと分からない。
AC充電より大電力の場合も
一方、出力の大きいUSB PD給電器を使うと、ノートパソコンに付属するACアダプターよりも大きな電力で給電できる場合もある(図4)。Inspiron 14(5405)の付属ACアダプターの出力は45Wだが、USB PDでは65WのPDOを備えており、大電力を利用できた。
また、試用した2機種のUSB端子はソース側としても利用できた(図5)。いずれもUSB Type-C端子が5V/3Aの給電に対応しており、スマートフォンの急速充電が可能だった。