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 技術開発や標準規格のアップデートに伴い、パソコンや周辺機器のスペックは複雑さを増し、本質的な違いが分かりにくくなっている。その違いで実際の便利さや使い勝手はどう変わるのか。Wi-Fiとネットワークのスペックを検証する。

メッシュWi-Fiの実際の効果とは

 「メッシュWi-Fi」は複数の機器を使ってWi-Fiの通信可能な範囲を拡張する機能。メッシュネットワークのWi-Fiであり、Wi-Fiの機器同士が網の目(メッシュ)状に通信する。一般的なWi-Fi中継機は電波を中継して増幅するだけだが、メッシュWi-Fiではルーターを含む複数の機器がネットワークを構成する形だ。

 実用面では、全ての機器で同じSSIDを使え、電波の強い接続先に自動で切り替わる(図1)。従来の中継機では、同じSSIDを使うと接続先が切り替わらず、近くに中継機があるのにルーターとつながったままになる場合がある。別のSSIDを使えば端末の操作で接続先を切り替えられるが、毎回操作するのは手間。そうした煩わしさを解消できるのがメッシュWi-Fiのメリットだ。

複数機器のネットワークでWi-Fiの電波が届く範囲を広げる
複数機器のネットワークでWi-Fiの電波が届く範囲を広げる
図1 Wi-Fiのメッシュネットワーク機能はWi-Fiの有効範囲を広げる機能。Wi-Fiルーターの中継機能と似ているが、通信速度が高くなるようネットワーク内で最適なルートを探す点が異なる。同じSSIDを使え、接続先が自動で切り替わる点が便利だ。なお、中継機は同じSSIDを使うと自動で切り替わらない場合がある
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 メッシュWi-Fiは各メーカーで独自の方式を採用していることが多い(図2)。同じメーカーでも製品のシリーズで方式が異なることもあり、後から機器を追加する際は注意が必要だ。業界団体のWi-Fiアライアンスが共通規格の「EasyMesh」を策定しており、これに対応していれば異なるメーカーの組み合わせでも利用可能になる(図3)。ただし、対応製品はまだ少ない。

メッシュWi-Fiの多くは独自方式
メッシュWi-Fiの多くは独自方式
図2 メッシュネットワーク製品の多くはメーカーごとの独自方式であり、対応機器も限られている。画像はアイ・オー・データ機器のメッシュ対応機器のリスト
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共通規格の「EasyMesh」も
共通規格の「EasyMesh」も
図3 まだ製品は少ないが、Wi-Fiアライアンスが策定した「EasyMesh」という共通規格もある。画像はEasyMeshに対応するネットギア製品の紹介ページ
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簡単かつシームレス

 メッシュWi-Fiの使い方は非常に簡単だ。ティーピーリンクジャパンの「Deco X20」のように、たいていはスマホのアプリで簡単に設定できる(図4、図5)。複数の機器を近くに並べて電源を入れ、アプリで同じネットワークに登録した後で各機器を設置場所に移動させる。登録時の操作は、追加する機種と設置場所を選択肢から選ぶだけで、接続の設定はアプリがやってくれる。一度登録すれば、電源を落としても起動した際に自動で再接続する。

手ごろな価格でメッシュを導入
手ごろな価格でメッシュを導入
図4 Wi-Fi 6に対応するメッシュルーター製品。最大速度はWi-Fi 6の5GHz帯利用時で1.2Gbps
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スマホアプリで管理する
スマホアプリで管理する
図5 設定にはスマートフォンのアプリを使う。アプリ上ではどの機器がつながっているかなども確認できる
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 効果は分かりやすい。接続中の機器の通信速度が著しく低下する位置に移動すると、自動で別のメッシュ子機に接続が切り替わり、ダウンロード速度はメッシュ親機の近くで通信したときに近くなった(図6)。

メッシュWi-Fiなら速度が落ちるエリアを減らせる
メッシュWi-Fiなら速度が落ちるエリアを減らせる
図6 メッシュWi-Fiを利用すると、Wi-Fiの電波が弱いエリアを補強できる。室内の中央付近に親機として設定した「Deco X20」を設置し、廊下からの通信速度を計測した。廊下に出ると通信速度は半分以下になったが、出入り口付近にメッシュ子機を追加すると室内に近い速度にまで改善した
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