
イジングマシンで真のDX始まる
出典:日経エレクトロニクス、2021年9月号 pp.16-17
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
目次
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NECが独自SAや“量子ブランコ”を開発 デンソーはMDとQAを接続
イジングマシンの性能向上と多様化が止まらない。まだ新しい技術だけにその技術開発内容は各社各様である。ただし、変数の多い問題に対処するための規模拡張性を高めることを重視する点では共通する。
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東芝のイジングマシンは運動方程式で全並列 量子効果で精度も向上
東芝はシミュレーテッドアニーリング(SA)を独自のアプローチで解く「シミュレーテッド分岐(SB)」アルゴリズムを開発。それまで難しいと考えられていた演算の全並列化を初めて実現した。
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日立と東工大が全結合全並列SA 結合先は鏡中の自分と未来の自分
日立製作所は「CMOSアニーリング」と呼ぶシミュレーテッドアニーリング(SA)の専用プロセッサーを最も早く開発したメーカーだ。ただし、CAはビット間の結合が疎結合で、カナダD-Wave Systemsのマシンと共通の課題を抱えていた。これを解決したのが「モーメンタムアニーリング(MA)」という技術…
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SAマシン実用化で先駆けた富士通 100万ビットでも全結合を維持
全結合でないというD-Waveの課題を払拭することで古典的なシミュレーテッドアニーリング(SA)マシンでも量子アニーリング(QA)マシンに対抗できるということを最初に示したのが富士通の「デジタルアニーラ(DA)」だ。チップとしては8192ビットだが、それらを連携させることで現在は100万ビットの全…
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D-Waveの量子アニーリングマシン 驚異的ペースで量子ビット数拡大
シミュレーテッドアニーリング(SA)などイジングモデルを利用した組合せ最適化の解法(ソルバー)は以前からあったが、専用機としての存在意義を最初に示したのはカナダD-Wave Systemsが開発した量子アニーリング(QA)マシンだ。
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トヨタシステムズが輸送網の最適化を検討 富士通のDAを利用へ
トヨタグループの部品部材の物流を支えるトヨタシステムズは、昨今の運転手不足などに対応するため、部材輸送網の再構築を検討している。富士通のイジングマシン「デジタルアニーラ(DA)」を使うことで、従来手法では難しかった輸送網の全体最適化が見えてきたという。
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デンソーが工場のAGVの経路最適化 稼働率が80%から95%へ
デンソーは、工場の無人搬送車(AGV)の走行経路最適化を、量子アニーリング(QA)などを研究する東北大学 教授の大関真之氏の研究室と共同で検討した。結果、AGVの稼働率を80%から95%に高められる見通しがついたという。
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東北大が津波からの最適避難経路 人的被害最小解が0.02秒で
東北大学 教授の小林広明氏の研究室などは、津波の襲来が予測されるときに、人的被害を最小にする避難経路を量子アニーリング(QA)マシンなどで求める研究を進めている。現状での求解時間は0.02秒。従来方式と結果が異なる例もあるという。
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損保ジャパンが10万契約へのSAの適用にメド GAの174倍高速に
損害保険ジャパンは保険の最適な組合せを日立製作所のCA(CMOSアニーリング)マシンで高速に求められるかどうかを検証した。保険は規模が大きいほどリスクを下げられるため、取り扱う問題の規模が大きいのが特徴である。結果は10万契約規模の問題で、それまで利用していた遺伝的アルゴリズム(GA)の174倍も…
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豊田中央研究所 交通信号機の最適制御を地域単位で想定
豊田中央研究所は、交通信号機の制御の最適化を地域単位で実現するために量子アニーリング(QA)やシミュレーテッドアニーリング(SA)の利用を検証した。交差点が格子状に2500カ所にある街を想定してイジングモデルを適用すると、車の直進性が高いケースではQAのほうがよい結果が得られたという。
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三井住友フィナンシャルグループ イジングマシン3種類を活用
三井住友フィナンシャルグループは各種イジングマシンをさまざまな用途に活用しつつある。1つは独自のシミュレーテッドアニーリング(SA)のアルゴリズムを利用した世界経済の予測モデルの補正、1つは日立製作所のSAマシンを利用したコールセンターの勤務シフト計画表の作成、そして、もう1つは量子アニーリング(…
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ゼンリンが観光プランを自動生成 再現性のなさがメリットに
ゼンリンデータコムは、イジングマシンで観光プランを自動生成する実証実験を行った。条件次第では解の再現性が保証されないイジングマシンの課題を逆手にとって、乱数などではうまくいかない観光プランの“ゆらぎ”を作り出すことに成功したとする。
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AGCがガラスの板取りを自動化? 疎結合マシンは課題に直面
ガラスメーカーであるAGCは、ガラス板からさまざまな寸法のガラスを効率よく切り出す”切り方”を、イジングマシンで決められるかどうかを検証した。現状ではD-Waveの量子アニーリング(QA)マシンより、東芝のシミュレーテッド分岐マシン(SBM)のほうが良い結果が出ているという。
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東芝とダルマ・キャピタル サブミリ秒で超高速金融取引
東芝とダルマ・キャピタルは2021年5月から、東芝が開発した超高速応答のイジングマシン「シミュレーテッド分岐マシン(SBM)」を用いた超高速応答の金融取引の実証実験を始めた。特にFPGAに実装したSBMは、組合せ最適化問題を高速に解くイジングマシンの中でも、速度や応答性に一層磨きをかけた“F1マシ…
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KDDI総研が5G電波共用システム チャネルを分単位で再分配
既に多くの企業が各種イジングマシンを利用したモノや人の組合せ最適化に取り組み始めた。最大のメリットはやはり問題の設定が容易で比較的短時間に答えが出る点。現状では多くがPOC(実証実験)だが、コロナ禍明けにも実運用を検討しているところは多い。事例第1弾では、KDDI総合研究所が5G(第5世代移動通信…
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イジングマシンは占い装置!? 量子アニーリングが競争の口火に
イジングマシンとは何だろうか。実は、その本質は“計算機”ではなく、問題の解き方も含めて、多数のサイコロを同時に振ってその結果を見る“占い装置”に近い。ただし、もちろんただのサイコロではなく、「スピン」と呼ばれる種も仕掛けもあるサイコロである。この特殊なサイコロの仕組みと、それを使った組合せ最適化問…
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IoTからデータデモクラシーへ 最適化のアクションを半自動化
これからはIoT(Internet of Things)の時代になるといわれてから早10年。しかし、日本ではその世界が広がったとは言い難い。一方でこの1年ほどで「組合せ最適化」を利用したDX(デジタル変革)が急速に広がりつつあり、トヨタグループを含む国内の主要企業の多くが既に実証実験に参戦している…