三井住友フィナンシャルグループは各種イジングマシンをさまざまな用途に活用しつつある。1つは独自のシミュレーテッドアニーリング(SA)のアルゴリズムを利用した世界経済の予測モデルの補正、1つは日立製作所のSAマシンを利用したコールセンターの勤務シフト計画表の作成、そして、もう1つは量子アニーリング(QA)を利用した機械学習のデータの拡張だ。
三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)は、グループ会社の日本総合研究所と共同で各種のイジングマシン、またはイジングモデルを利用したさまざまな取り組みを進めている。その1つが、経済危機時の世界経済の成長率の予測モデル「ストレステスト」の作成である。これまでは専門家が作成した1年分のモデルを、他の経済指標に合うよう補正する作業に1時間半ほどの時間がかかっていた。
今回は、SMFGが独自に開発したシミュレーテッドアニーリング(SA)のソルバーを汎用のコンピューター上で動作させて、この補正作業の大幅時短を試みた(図1)。目的関数は、モデルと経済指標とのズレ。決定変数はモデルの補正値(8ビット)である。結果、求解時間は数分から15分で、従来の1/6以下になった。精度も目標としていた±0.05%以内を達成できた。
同じ問題をカナダD-Wave Systemsの量子アニーリング(QA)マシンでも解いてみると、数秒とより短時間で求解した。ただ、「SAでも十分実用的」(SMFG)とし、この件でD-Waveに頼る必要はないという評価だ。