全1716文字
PR

トヨタグループの部品部材の物流を支えるトヨタシステムズは、昨今の運転手不足などに対応するため、部材配送網の再構築を検討している。富士通のイジングマシン「デジタルアニーラ(DA)」を使うことで、従来手法では難しかった輸送網の全体最適化が見えてきたという。

 トヨタシステムズは、輸送トラックのルートを短時間に最適化する研究開発に取り組んでいる。トラックの走行距離やドライバー人数など配送にかかるコストを低減した上で、完成車工場が指定する時刻に「ジャストインタイム(JIT)」で届けることを目指す。

ドライバー不足で最適化に機運あり

 トヨタシステムズの輸送網の特徴はなんといっても輸送ルートなどの組み合わせの規模が世界最大級であることだ(図1)。地域によっては数百万通りもの有効なルート候補があるという。最適なルート選択は非常に複雑な組合せ最適化問題になる。

図1 トヨタの部材配送網の“組み合わせ”は世界最大級
図1 トヨタの部材配送網の“組み合わせ”は世界最大級
トヨタ自動車の部品供給網をトラックが巡回する経路の組み合わせを示した。多数ある工場の中から各トラックの割り当てを決めて、自動車部品工場を巡回して部品を回収する。その後多くのトラックは指定の中継倉庫に移動し、そこで部品を集約して別のトラックに再分配する。中継倉庫を出たトラックは、「ジャストインタイム(JIT)」で完成車工場に到着せねばならない。中継倉庫を経由せずに直接完成車工場に届けるケースや、中継倉庫間で配送する場合もある。トヨタシステムズは、これら多数の組み合わせの中から最適な経路や最終工場への適切な到着時間を見つける最適化問題を解くことを目指す。(図:トヨタシステムズの資料を基に日経クロステックが作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 トヨタグループが部品供給網の最適化に乗り出している理由の1つは、国内のドライバー不足である。トヨタ自動車は従来仕入れ先が個別に部品を届ける「お届け物流」を採用してきたが、ドライバー不足により全体の輸送効率を引き上げる必要が生じ、自社が供給網を管理する「引き取り物流」に転換しようとしている。高効率化の他にも、ドライバーの労働条件の改善や、CO2排出量の削減の効果も期待できる。

 引き取り物流が一般的である同社の海外工場では、主に生産車種や生産台数が変更した際に、輸送ルートの再構築が必要となる。現在のところ熟練プランナーの勘とコツによって作成しているという。

 トヨタシステムズは、引き取り物流の実例がある海外を対象にして、そうした勘とコツによる経路作成よりもさらに物流コストが低い解を探すべく、最適化ソルバーを使う研究開発を2018年から進めている。