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 2022年は、日本市場の電気自動車(EV)シフトにおいて、大きな節目の年と言えるだろう。なぜなら、ほとんどの自動車メーカーが量産型のEVを販売するようになったからだ。「EVが売れている」という話も耳にするようになった。だが、実際はどうなのか。日本や世界のEV市場の動向を見てみると、売れているEVと売れていないEVの違いが浮かび上がってきた。

 日本のEV市場の転換点は、やはり22年の5月だろう。トヨタ自動車は、SUBARU(スバル)と共同で開発したSUV(多目的スポーツ車)タイプのEV「bZ4X」を5月に発売。スバル版の「ソルテラ」も同じタイミングで市場に投入された。そして同月、日産自動車と三菱自動車が、共同で開発した軽自動車EV「サクラ」と同「eKクロスEV」を発表。6月には販売を開始した。

日産自動車の「サクラ」は、軽自動車タイプの電気自動車(EV)だ。2022年5月に発表した。日産の場合は、同年の1月にSUV(多目的スポーツ車)タイプのEV「アリア」を市場に投入しており、立て続けでのEV展開となる(写真:鈴木 ケンイチ)
日産自動車の「サクラ」は、軽自動車タイプの電気自動車(EV)だ。2022年5月に発表した。日産の場合は、同年の1月にSUV(多目的スポーツ車)タイプのEV「アリア」を市場に投入しており、立て続けでのEV展開となる(写真:鈴木 ケンイチ)
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三菱自動車の軽EV「eKクロスEV」は、日産自動車の「サクラ」と兄弟車だ(写真:鈴木 ケンイチ)
三菱自動車の軽EV「eKクロスEV」は、日産自動車の「サクラ」と兄弟車だ(写真:鈴木 ケンイチ)
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 少し時期が遡るが、ホンダは20年に「Honda e(ホンダ イー)」を、マツダは21年に「MX-30 EV MODEL」をそれぞれ発売している。これらのラインアップを合わせれば、スズキとダイハツを除く日本の大手自動車メーカーから、EVが出そろったわけだ。

 もちろん、日本のメーカーだけではない。欧米などの自動車メーカーも欧米市場と同様に、日本市場でEVを次々に展開してきた。コンパクトカーからセダン、SUVまで、まさに百花繚乱(りょうらん)という状況だ。

 特にドイツ勢は、多くのラインアップをそろえた。例えば、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)はSUVの「EQA」を筆頭に「EQB」「EQC」の3車種を日本で販売。BMWは、コンパクトカーの「i3」、SUVの「iX」「iX3」、セダンの「i4」「i7」といったラインアップを展開している。Audi(アウディ)は「e-tron」で日本市場を狙い、Porsche(ポルシェ)は「Taycan(タイカン)」を投入した。

 欧州Stellantis(ステランティス)の各ブランドは、小型タイプを中心に攻めている。Peugeot(プジョー)は「e-208」「e-2008」、Citroen(シトロエン)は「E-C4 ELECTRIC」、そしてFIAT(フィアット)は「500e」だ。

 米国の自動車メーカーではTesla(テスラ)が存在感を放っている。「モデルS」「モデル3」「モデルX」に加え、22年6月にはSUVタイプの「モデルY」の受注を日本で開始したことは記憶に新しいだろう。

 EVを足掛かりに日本市場での活躍を狙うメーカーもある。韓国Hyundai Motor(現代自動車)の「IONIQ 5」はその一例だ。さらに、中国・比亜迪(BYD)の「ATTO 3」も、日本市場への投入が予告されている。

日本のEV市場は日産の独り勝ち

 豊富になったEVのラインアップを見ていると、売れているクルマの種類も一気にEVへと置き換わっているように思えてしまう。だが、実はそんなことはない。まだ、「EVを出せば何でも売れる」というわけではないのだ。販売台数を見てみると、EVの台数はそれほど多くないことが分かる。