「テレワーク基盤の安定化を」「デジタル技術の現場定着で支援を」。ユーザー企業の新たな声にITベンダーの「常態化」への対応力が問われる。3割超が業績低迷と答える中、企業はIT投資を広げており、コスト対策は一層重要になる。
在宅勤務のためのシステム対応を強化しつつ、DX(デジタル変革)を推進する――。調査結果とユーザー企業の担当者による自由意見から、ここ1年のユーザー企業の動きをこう表現できる。
2020年春、緊急事態宣言の発令を機に多くのユーザー企業がビデオ会議ツールやビジネスチャットといった「新型コロナウイルス対策関連分野」ともいえる製品やサービスの導入を進めた。2021年に入ると、この分野の製品やサービスが企業活動に不可欠なツールとして定着するとともに、コロナ対策に触発されてDXに関する動きも再び活発になってきた。
ある流通/小売業の回答者は「DXの検討のため、多数のコンサルティング会社と会う機会が増えた」という。今回調査で3冠を得たデル・テクノロジーズの松本光吉執行役員副社長データセンターコンピュート&ソリューションズ事業統括も「働き方改革がこれまで以上に必須となったこの1年、DXへの意識が高まった顧客が増えた」と話す。
こうした中、調査ではユーザー企業所属の回答者から様々な課題やニーズが自由意見として寄せられた。集まった声を分析すると、ITベンダーに求められる3つの力が浮き彫りになった。新常態の働き方に不可欠なIT基盤を安定的に提供・運用する「インフラ力」、デジタル技術の現場定着を支援する「DX支援力」、顧客が納得できる価格戦略を遂行する「コスト対応力」である。それぞれを詳しく見ていこう。