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 「不正送金を助長する口座の売買は違法です」。兵庫など各警察のサイバー犯罪対策課はTwitterにこうした警告の書き込みを続けている。Twitterで金融機関の口座売買をもちかける匿名の書き込みが後を絶たないからだ。

 インターネットなどで横行する口座売買といった不正行為を防ぐために、オンラインで完結する「eKYC(electronic Know Your Customer)」を応用したサービスを展開しているのがACSiON(アクシオン)である。2019年7月にセブン銀行が子会社として電通国際情報サービス(ISID)と共同出資で設立した。

 アクシオンのeKYCサービスは顔写真付き身分証や容貌を撮影して送信する方式だ。2021年8月末現在で導入を決定しているのはセブン銀⾏など25社という。非対面での口座開設の申し込みが増えている地方銀行や、フリーランス人材のマッチングサービスを提供するランサーズといった企業が、本人確認を強化するため相次いで導入を公表した。

 ただアクシオンのeKYCサービスは、ほかの多くのeKYCサービスとは提供形態が異なる。多くのeKYCサービスは企業の委託を受けてeKYCサービスを提供しており、eKYCで取得した個人情報などを一定期間後に削除する例が多いため、利用者がeKYCサービス提供企業との接点を持ち続けることはない。

 これに対してアクシオンのeKYCサービスを使う場合、利用者はまずアクシオンの会員になる必要がある。アクシオンのeKYCサービスを導入した銀行で、新規口座をオンラインで開設する場合を例に取ろう。利用者が銀行のWebサイトで申し込みをすると、アクシオンのWebサイトにリダイレクトされる。次いでアクシオンのeKYCサービスの利用に同意すると、銀行の顧客になるだけでなくアクシオンが提供するオンライン本人認証である「proost(プルースト)」の会員にもなる。

 アクシオンはプルースト会員として登録された利用者の氏名や住所、顔写真の画像データや本人確認の書類に記載された情報を蓄積している。不正検知や認証サービスに応用するためだ。

アクシオンのオンライン本人認証サービス「proost(プルースト)」
アクシオンのオンライン本人認証サービス「proost(プルースト)」
(出所:アクシオン)
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セブン銀行のATMでも不正防止

 アクシオンはセブン銀行が培ってきた不正な口座開設を防ぐノウハウをプルーストの会員登録プロセスに組み込んでいる。セブン銀行で金融犯罪対策の業務経験を積んだメンバーがアクシオンに出向して、「顧客企業が本業に専念できるよう、銀行の不正対策の目線で取引を監視している」(アクシオンの安田貴紀最高経営責任者=CEO)という。