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 長期化する新型コロナウイルス感染拡大。世界中で進む、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組み。産業構造が大きく変化する中で、2022年に飛躍が見込まれるのはどんな業界なのか。『日経業界地図 2022年版』から、要注目分野の「業界地図」を紹介する。今回は、介護・医療ロボットの業界地図を見ていこう。

介護・医療ロボットのポイント
  • 手術支援ロボットは先行したダヴィンチの特許切れに伴い内外40社ほどが参入を計画
  • 将来は臨床検査などもロボットの需要が高まる
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 手術支援ロボットの先駆けは1999年に米インテュイティブサージカル社(日本法人:インテュイティブサージカル合同会社)が発売したダヴィンチ。日本でも泌尿器、消化器、婦人科領域など21の術式が保険適応となっている。

 介護福祉分野ではリハビリテーションを中心にロボットが導入されている。少子高齢化は介護人材の不足にもつながり、今後ロボットの需要は高まると予想される。

2030年への展望

 先行したダヴィンチの特許が2019年に切れたことから新規参入が相次ぎ、その数は40社に上る。川崎重工とシスメックスが共同出資したメディカロイドが手術支援ロボットhinotoriを開発、20年8月に承認を取得、9月には保険適応となった。さらに東京工業大学発のリバーフィールドなど後続企業が登場している。

 今後、本体や消耗品の価格競争を含めた各種ロボットのシェア争いの激化が予想される。介護ロボットは脆弱高齢者を対象としたリハビリ用途で市場を拡大している。また今後はPCRなどの精密検査や再生医療の細胞培養を行うロボットなどの需要も拡大するとみられる。