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 長期化する新型コロナウイルス感染拡大。世界中で進む、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組み。産業構造が大きく変化する中で、2022年に飛躍が見込まれるのはどんな業界なのか。『日経業界地図 2022年版』から、要注目分野の「業界地図」を紹介する。今回は、スリープマネジメントの業界地図を見ていこう。

スリープマネジメントのポイント
  • OECD加盟国の調査で、睡眠時間ワースト1の日本の課題は、睡眠の質と量の改善
  • 脳波の測定が簡便化され、研究機関や測定&マネジメント企業と連携した新ビジネスが拡大
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 日本はOECD加盟国の生活時間調査で、睡眠時間がワースト1だ。睡眠不足は、昼の業務の効率性と判断力の低下やミスの増加を誘発する。

 睡眠不足と、記憶の障害・メンタル疾患の発症率の関係も指摘されており、認知症のリスクの増大、肥満にも関わる。この損失の規模はGDPの3.3%に相当し、16.9兆円と試算されている。そのため、睡眠の課題を解決するスリープマネジメントの考えや、食品で改善させる機能性表示食品が注目されている。

2030年への展望

 睡眠の量と質の測定に基づく客観的な測定技術とコンサルテーションを行うアカデミア発の企業が参入し、市場が大きく変わりつつある。スタンフォード大学睡眠生体リズム研究所の西野精治所長が代表取締役を務める、ブレインスリープがその一つ。

 また、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の柳沢正史機構長・教授は、簡便に脳波を測定できる機器を開発して、スタートアップS’UIMINを立ち上げた。今後、測定の簡便化と精度アップにより、企業向けのスリープマネジメントビジネスがさらに拡大しそうだ。