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 長期化する新型コロナウイルス感染拡大。世界中で進む、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組み。産業構造が大きく変化する中で、2022年に飛躍が見込まれるのはどんな業界なのか。『日経業界地図 2022年版』から、要注目分野の「業界地図」を紹介する。今回は、治療用アプリの業界地図を見ていこう。

治療用アプリのポイント
  • 禁煙薬物療法支援のアプリが2020年に承認を取得
  • 不眠や糖尿病、うつ病などへ適用拡大の動き
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 治療用アプリは医師が薬の代わりに処方するアプリの総称で、実質的にスマートフォンにインストールして使用するDTx(デジタル治療)のツールだ。患者が日常行動を記録するとアプリが助言し、患者の意識や生活習慣病を改善する行動変容を促す。

 先駆けは2010年に承認された米国WellDocの糖尿病治療用アプリ「BlueStar」。日本では20年に承認、保険償還が決定したキュアアップの「CureApp SC ニコチン依存症治療アプリ」が第1号。

2030年への展望

 治療用アプリの登場を見越して2014年には医薬品医療機器等法(薬機法)が改正され、予防・診断・治療を目的としたアプリやソフトウエアが医療機器に該当することになるなど規制当局も準備をしてきた。薬と異なり副作用の心配がなく、研究開発の期間やコストを抑えられることが治療用アプリの最大の魅力。

 糖尿病や不眠症、高血圧、うつ病などの治療用アプリを国内数社が開発中だが、課題は費用対効果の証明だ。「ニコチン依存症治療アプリ」の保険償還価格は技術料として評価され、その額は2万5400円となった。