ノートパソコンや液晶ディスプレイ、タブレット、スマートフォンなどは画面の大きさを「24型」や「24インチ」といったサイズで表す。ところがサイズが同じでも、実際の大きさは製品によって異なることがある。どうしてこんなことが起こるのか。
今回はディスプレイを搭載した製品の選ぶときに役立つ専門用語を厳選して解説していく。
横縦比の違いが大きさの違いを生む
画面のサイズが同じでも、画面の大きさが製品によって異なるのは画面の横縦比が異なるからだ。
サイズは画面の対角線の長さを示したもので、数値の単位はインチである。1インチは2.54センチで、液晶ディスプレイの多くは横と縦の長さの比率が16:9なので、14型なら画面の大きさは幅31×高さ17.4センチ(数値は概算値、以下同)、24型なら幅53.1×高さ29.9センチとなる。
ノートパソコンやタブレット、スマホでは16:9のほかに、4:3など16:9以外のディスプレイを採用する製品がある。4:3では、14型なら画面の大きさは幅28.4×高さ21.3センチ、24型なら幅48.8×高さ36.6センチとなる。このように、同じサイズでもディスプレイの大きさは異なる。画面の大きさを確認するときは、横縦比まで確認する必要がある。
見た目が大きく異なる駆動方式に注目
ディスプレイの多くはTFTと呼ばれる液晶を採用している。TFTには画像を表示するための方式(駆動方式)が複数種類あり、その方式によって特性が異なる。それぞれの特性を知っていれば、製品をより選びやすくなる。駆動方式は大きくTN方式、VA方式、IPS方式の3つに分けられる。
TN方式は応答速度が高速で、ちらつきや残像が出にくい。テレビでのスポーツ観戦やゲームなどの用途に向く。ゲーミングディスプレイはこの方式を採用する製品が多い。また、3種類の中では最も安価なので、低価格帯製品での採用が多い。ただし、この3種類の中では色の再現範囲(色を表現できる範囲)が狭いといわれている。また、視野角(画面に対して角度を付けて見たときにコントラストを保てる範囲)も狭いため、斜めから見ると画面が暗くなったり色が変わったりする。
VA方式はTN方式よりコントラストが高く発色もよい。また、視野角も広い。応答速度(画面の変化に追従する速度)もTN方式と同じか若干劣る程度で速い。TN方式より高価だが、IPS方式よりは安価になることが多い。動きの速いコンテンツを視聴しつつ、発色や視野角を求める人には向いている。
IPS方式は3種類の中で色の再現範囲が最も広い。またVA方式同様、TN方式より視野角が広い。写真編集やデザイン用途など、発色を重視した作業に向く。ただし、この3方式の中で応答速度が遅く、価格はVA方式より高くなることが多い。一部の製品で採用されるADS方式は、仕組みも特徴もIPS方式に近い。