企業や家庭で使うネットワークは、LANケーブルを使って機器をつなぐ有線LANと、電波を使って機器をつなぐ無線LANに分けられる。無線LANは有線LANと違い、同じ規格に対応した製品同士で接続してもその規格の最高速度とはほど遠い速度でしか通信できない。
例えば、有線LANの規格「1000BASE-T」に対応した機器同士を接続すれば、1000BASE-Tの最高速度1Gbpsに近いスループット(実測した速度)で通信できる。一方、無線LANの規格である「IEEE 802.11ax」の最高速度は9.63Gbpsだが、スループットが1Gbpsを超えないことはよくある。
また無線LANは同じ規格に対応した製品でも、対応する機能によって最高速度が異なる場合がある。こうした無線LANの特性や規格のため、「より高速なルーターに交換したのに速度が上がらない」といった失敗が起こりやすい。無線LANに関する知識を身につければ、こうした失敗を減らせるだろう。ここでは、無線LAN機器の製品選びに役立つ専門用語を解説する。
最新規格はWi-Fi 6
現在販売されている無線LAN機器が対応する最新規格はIEEE 802.11axである。ところが、IEEE 802.11axに対応している無線LAN機器のパッケージを見ても、IEEEから始まる規格名が確認できないことがある。代わりに「Wi-Fi 6」と記載されていることが多い。このWi-Fi 6はIEEE 802.11axの愛称である。
Wi-Fi(ワイファイ)とは、無線LAN機器の普及促進を図る業界団体「Wi-Fi Alliance」が規定した相互接続性の試験を合格した機器が名乗れるブランド名である。無線LANそのものを指す言葉として使われることもある。
Wi-Fi 6という愛称はIEEE 802.11axが登場したときに導入された。Wi-Fi 6の「6」はWi-Fi規格の6世代目を表す。それと同時に従来規格のIEEE 802.11acは「Wi-Fi 5」、IEEE 802.11nは「Wi-Fi 4」という愛称を使うようにWi-Fi Allianceが定めた。
ただ愛称を使わずに、規格名としてIEEE 802.11axを略した「11ax」「ax」、IEEE 802.11acを略した「11ac」「ac」といった名称をパッケージに載せている製品もある。最新のWi-Fi 6対応製品を購入するときは、Wi-Fi 6や11ax、axといった文字を探すとよい。