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 重機の自動化によって、福島第1原発以上に過酷な現場にも技術適用のフィールドは広がる。それを示すのが、「次の現場は、宇宙です。」というキャッチフレーズを打ち出した鹿島の広告だ。

鹿島が制作した広告。「次の現場は、宇宙です。」というキャッチフレーズや、月を持ち上げるようなホイールローダーが印象的だ(資料:鹿島)
鹿島が制作した広告。「次の現場は、宇宙です。」というキャッチフレーズや、月を持ち上げるようなホイールローダーが印象的だ(資料:鹿島)
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 夢物語に思えるが、決して誇大広告ではない。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2020年に取りまとめた「日本の国際宇宙探査シナリオ」によると、人が長期間滞在する月面拠点の建設が30年代に始まる。クワッドアクセルが、この壮大な計画を現実的な目標へと落とし込んだ。

 「宇宙開発の関係者でなくても、クワッドアクセルを見た後に『月面の建設工事も実現できそうだ』と言う人は、結構多い」。JAXA国際宇宙探査センター月極域探査機プリプロジェクトチームの若林幸子技術領域主幹は、こう明かす。

 人が滞在する拠点を造るうえで重機は欠かせない。一方、多くの作業員を月面に送り込むのは難しいので、基本的に地球から遠隔で操縦する。問題は、地球と月との距離だ。約38万km離れているため、日本から発した指令が月面の重機に到達するまで3~8秒かかる。

 通信の遅延や断絶のリスクを考えれば、障害物などに自律的に対応しつつ、自動で作業を続けられる技術が必要不可欠になるのだ。

 鹿島とJAXAは、芝浦工業大学、電気通信大学、京都大学とともに、16年に遠隔操作と自動制御を協調させた施工システムの共同研究を開始。月面での有人拠点の建設を想定した施工実験などに取り組んでいる。