山岳トンネル工事では、コンクリートの吹き付けのように切り羽付近に重機を据えて施工する作業が多い。その場合、重機の位置情報をリアルタイムに得なくても、作業の開始前にトンネルとの相対的な位置関係を計測しておけば制御できる。
ただし、発破で生じた土砂をホイールローダーで持ち上げて、切り羽からベルトコンベヤーのホッパーまで運び出す「ずり出し」は別だ。移動するホイールローダーの位置を把握しなければならない。
トンネル内はGNSS(衛星を用いた測位システムの総称)の電波が届かない。ダムの現場のようにGNSSをジャイロセンサーなどと組み合わせて測位するのは難しい。
そこで鹿島は、トンネル内の自動走行を制御するためにSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)とiGPSという2つの計測技術を検証している。
前者は、3次元レーザースキャナーで周囲の環境地図を作りながら自己位置を推定する。後者は、トンネル内に複数の赤外線レーザー送信機を張り巡らせ、重機に取り付けた受信機の位置を三角測量の要領で割り出す。いずれの技術でも、トンネル内の自動走行が可能だと確かめた。