「A4CSEL(クワッドアクセル)」という独自技術で、世界に先駆けて自動化施工を実現した鹿島。今後、自動化重機がどのように建設業界を変革していくのか。クワッドアクセルのプロジェクトを指揮する鹿島の高田悦久専務に展望を聞いた。(聞き手:浅野 祐一=日経クロステック建設編集長・日経コンストラクション編集長、夏目 貴之、橋本 剛志=日経クロステック/日経コンストラクション)
クワッドアクセルのこれまでの状況を教えてください。
クワッドアクセルの開発には、2020年までに約30億円を投じました。これから活用の場を広げて、利益につなげなければなりません。業界内で先行するために、もっと投資する必要もあります。
しかし、建設業界ではクワッドアクセルについて「積極的に使おう」「導入しやすい仕組みをつくろう」といった動きにはなっていません。発注者など社外からも評価されていますが、珍しさに対する注目という意味合いが強い。導入を進めて日本の構造改革につなげたいという我々の意識とは温度差があります。
公共事業は平等性を重視するので、特別な技術があるからといって受注できるわけではありません。例えば、建設会社が独自の施工方法を提案できるECI方式の発注などが増えると採用しやすくなるはずです。
海外からの引き合いはありますか。
コロナ禍の影響で、海外から人を呼べていません。本来なら東南アジアで付き合いのある会社などを招いて、動いているクワッドアクセルを見せる予定でした。実物を見ればインパクトは大きいはず。コロナの状況が落ち着けば、積極的にアピールします。
安全面や施工効率に対して厳しい海外では、自動化施工が有効なはずです。実際、カナダの建設会社から問い合わせを受けました。ただし、海外で活用するためには機材の調達が問題になる。クワッドアクセルでは、主にコマツの重機を使っているからです。