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複数の重機による自動化施工が進む成瀬ダム。鹿島は施工技術を高めるとともに、研究開発体制の構築や人材育成にも力を注ぐ。クワッドアクセルの運用や開発などを統括する出石陽一自動化施工推進室担当部長に話を聞いた。(聞き手:橋本 剛志)

鹿島機械部自動化施工推進室の出石陽一担当部長。1993年鹿島入社。高速道路やダム、シールドトンネルなどの施工に従事し、2017年からクワッドアクセルの開発や運用に携わる(写真:日経クロステック)
鹿島機械部自動化施工推進室の出石陽一担当部長。1993年鹿島入社。高速道路やダム、シールドトンネルなどの施工に従事し、2017年からクワッドアクセルの開発や運用に携わる(写真:日経クロステック)
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成瀬ダムを建設する本番の工事が進むなかで、クワッドアクセルの実証や開発を両立させるのは難しそうです。

 現在は、クワッドアクセルで十分な品質を保ちながら速く施工できると分かっています。現場では基本的に自動化施工を導入する方針が取られています。

 一方で、導入当初は順調に進まないこともありました。自動化重機の台数を増やして本当にうまく動くのか、最初は誰もが心配します。何が何でも押し通すことはせず、調整に努めました。施工を担う鹿島・前田建設工業・竹中土木JVにはかなり協力してもらっています。

 トラブルが起こった場合は内容を確認し、どのくらいの時間をかけて解決できそうかを考えます。現場やその周辺で進めている施工内容によっては、工事を1時間止めると非常に大きな痛手になる恐れがある。こういった推測には、これまで多様な施工現場に携わってきた経験が生きています。

既に堤体面積の94%で自動化施工の導入を実現しました。

 ここ数年で技術は加速度的に進展しています。残りの6%は岩盤の端部など、不定形な場所です。例えば今後、堤体の中ほどにエレベーターを構築します。CSG(現地で得られる石や砂れきとセメント、水を混合した材料)を打設するエリアを、異なる大きさや形で分割しなければならない。

 現在、そのような場所にも自動化施工が使えるよう開発を進めています。既に、自動化重機を止めずに施工範囲を柔軟に変える技術などができました。

 他にも、1時間当たりの施工量をどこまで引き上げられるか研究中です。ブルドーザーの押し方など、重機の動き方を決めるプログラムは、日々の運用実績を基に改良しています。

 現在成瀬ダムでは、クワッドアクセルの開発・運用を担う「ITパイロット」が4人で、自動化重機を管理しています。例えば東京から遠隔で施工を管理できるようになると、4人で複数の現場を管理できるようになるでしょう。

 遠隔操縦を組み合わせれば、技術的には現場は全て無人で施工できるようになります。