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建設会社が重機の自動化や遠隔操縦の技術開発を加速させている。一方で、効率的なシステム開発にはメーカーごとの重機の違いや異なる機種の壁が立ちはだかる。土木研究所で建設ロボットや情報化施工などの研究に携わる橋本毅主任研究員に、現状の課題や取り組みを聞いた。(聞き手:橋本 剛志)

土木研究所技術推進本部先端技術チームの橋本毅主任研究員。国内外の重機メーカーなどで技術畑を歩み、土木研究所に入所。主に建設ロボットや情報化施工、無人化施工の研究に携わり、2013年から現職(写真:日経クロステック)
土木研究所技術推進本部先端技術チームの橋本毅主任研究員。国内外の重機メーカーなどで技術畑を歩み、土木研究所に入所。主に建設ロボットや情報化施工、無人化施工の研究に携わり、2013年から現職(写真:日経クロステック)
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1種類の重機の動作を制御するシステムを作っても、工事によって機種やメーカーは変わります。重機をコンピューターで制御するハードルはかなり高そうです。

 単純に電子制御回路をコンピューターにつなげて動かそうとすると、回路の情報が必要となります。その中にはエンジン制御の情報などメーカーの企業秘密も含まれるので、個別に秘密保持契約を結ぶことになってしまいます。

 それではシステムを開発しても他のメーカーの重機には使えません。1つの現場では複数のメーカーの重機を使うことも多いので、非効率です。

 そこで我々は、重機の制御回路に入力する信号のルールを統一しようと提案しています。メーカーが異なる汎用の油圧ショベルなどを共通の信号で動くようにすれば、ユーザーである建設会社は制御システムを開発しやすくなります。

 2021年度中に、まずは制御信号のルールについて原案を公表する予定です。それからメーカーや建設会社に対し、個別に意見を求めていきます。

異なる重機を制御するための共通信号の概念図(資料:土木研究所)
異なる重機を制御するための共通信号の概念図(資料:土木研究所)
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重機メーカーにとっては、自社の機密情報を開示する必要に迫られるのでしょうか。

 いいえ、我々はあくまで最低限のルールだけを決めましょうという提案をしています。例えば油圧ショベルにある信号を送ればブームを上げる、別の信号を送ればバケットを動かす、といったルールを想定しています。速度や力の加減を決めるパラメーターまで一律に開示させるわけではありません。

 当然、同じシステムでも機種やメーカーによって動きは異なります。その部分は建設会社がシステム開発で競争する部分でしょう。