多種かつ多数の重機を自律運転で動かして大型の土木構造物を建設する――。鹿島が生み出した自動化機械で工事現場を切り回す建設生産システム「A4CSEL(クワッドアクセル)」は、世界の建設現場を革新する可能性を秘める。類例のない技術の裏側に迫った。

鹿島流・全自動工事
目次
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自動化重機の事故は保険で対処するのが基本
自動化重機の普及のネックになり得る問題の1つが、安全対策だ。万が一、自動運転中に作業者と接触事故を起こした場合、誰が責任を取るのか。建設会社だけでなく発注者も気になるこの問題について、ロボットに関する法制度に詳しい小林正啓弁護士に解説してもらった。
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2021年度内に重機の制御信号ルールの原案を出す
建設会社が重機の自動化や遠隔操縦の技術開発を加速させている。一方で、効率的なシステム開発にはメーカーごとの重機の違いや異なる機種の壁が立ちはだかる。土木研究所で建設ロボットや情報化施工などの研究に携わる橋本毅主任研究員に、現状の課題や取り組みを聞いた。
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「建設ロボット」が作業しやすい環境を
深刻な人手不足などを背景に、自動化重機を含めた「建設ロボット」の開発・導入が活況だ。ただし、開発に当たってはその費用の捻出や安全対策といった課題も多い。ICT施工の推進などに長らく取り組んできた立命館大学・建山和由教授に、建設ロボットとの上手な付き合い方を聞いた。
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コマツは役員会議で盛り土の手順を議論するまでに成長
重機メーカーのコマツは重機の自動運転だけでなく、建設会社が取り組む施工計画の分析にも乗り出す。2021年には異業種と組み、建設業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する新会社も立ち上げた。コマツで事業をけん引する四家千佳史執行役員スマートコンストラクション推進本部長に現状の課題や取り組…
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色鉛筆のような人材の確保が鍵に
複数の重機による自動化施工が進む成瀬ダム。鹿島は施工技術を高めるとともに、研究開発体制の構築や人材育成にも力を注ぐ。クワッドアクセルの運用や開発などを統括する出石陽一自動化施工推進室担当部長に話を聞いた。(聞き手:橋本 剛志)
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自動化重機と連係する作業にも工夫の余地がある
最大で23台もの自動化重機を動かす前代未聞の現場、成瀬ダム堤体打設工事を統括する鹿島・前田建設工業・竹中土木JVの奈須野恭伸所長。「旧来の方法が一番良いという考えを捨てよ」という鹿島の伝統を体現し、新技術の導入や自動化重機の効率化に向けた工夫に日々取り組む。
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土木へ関心持つ人材は業界外にもいる、現場の魅力発掘
秋田県内で鹿島が自動化重機による施工を進める成瀬ダム。新しい技術が取り入れられているのは工事だけではない。施工現場を見下ろす高台にある工事の展示スペースではAR(拡張現実)を導入し、完成予定のダムや近づくのが難しい重機などを実物大で体感できるよう工夫を凝らす。土木部門の広報を統括する小野かよこ技術…
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鹿島が自動化重機のリース会社をつくる可能性もある
「A4CSEL(クワッドアクセル)」という独自技術で、世界に先駆けて自動化施工を実現した鹿島。今後、自動化重機がどのように建設業界を変革していくのか。クワッドアクセルのプロジェクトを指揮する鹿島の高田悦久専務に展望を聞いた。
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下請け任せのノウハウを徹底分析して元請けの役割果たす
建設産業で大きな問題となっている人手不足や生産性の低迷を打開する狙いも込めて開発を進めている鹿島の「A4CSEL(クワッドアクセル)」。技術開発の先頭に立ち続けてきた同社技術研究所の三浦悟プリンシパル・リサーチャーに、この技術が建設産業にもたらす変革の可能性を聞いた。
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グーグルのようにユーザーの視点から開発
世界最先端の自動化施工を実現している鹿島の建設生産システム「A4CSEL(クワッドアクセル)」。この開発を立ち上げ、現在も最前線で技術革新を押し進める鹿島技術研究所の三浦悟プリンシパル・リサーチャーに、同システムの開発に至った経緯と狙いを聞いた。2回に分けて伝える。
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世界初の自動化技術の飛躍に立ちはだかる3つの課題
ダムから廃炉現場やトンネル、月面拠点にまで適用先を広げつつあるクワッドアクセル。だが、行く手を阻む壁はまだ多い。自律重機の調達や安全基準の整備、技術を生かせる市場の開拓。先進技術を真の成功に導くには、これら周辺課題の解決が欠かせない。
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測位技術をシームレスに使い分け、トンネル内でずりを出すホイールローダー
山岳トンネル工事では、コンクリートの吹き付けのように切り羽付近に重機を据えて施工する作業が多い。その場合、重機の位置情報をリアルタイムに得なくても、作業の開始前にトンネルとの相対的な位置関係を計測しておけば制御できる。
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鹿島が延長320mのトンネルを自前で掘削、施工自動化の検証
山岳トンネル工事の全自動化を実現するため、鹿島は自社で実証実験としてトンネルを掘る異例の決断を下したことが、日経クロステックの取材で分かった。その規模は長さ321.3m、断面積43.9~73.5m2。自動車が通れるような実物大のトンネルだ。
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2030年代に月面で工事、自律運転と遠隔操作で有人拠点を造る
重機の自動化によって、福島第1原発以上に過酷な現場にも技術適用のフィールドは広がる。それを示すのが、「次の現場は、宇宙です。」というキャッチフレーズを打ち出した鹿島の広告だ。
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福島第1原発で活躍、がれき撤去を支え9年走り続けるフォークリフト
2011年の東日本大震災から10年が経過し、廃炉作業が進む福島第1原子力発電所。撤去したがれきの運搬作業には長期にわたって、鹿島の自動走行システムが使われている。
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巨大ダムで挑む自動化施工、下請けも変革を歓迎
国内最大の台形CSGダムを建設する現場で稼働する鹿島のクワッドアクセル。自動化施工の挑戦を支えるのは開発した技術や重機だけではなく、安全で効率的な現場運営も大きな役割を担う。現場のルールや工夫を探った。
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自動化重機が動き回るダム現場に潜入
堤体の盛り立て面積の最大94%で自動化施工を進める成瀬ダム。現場では自動走行する重機の台数を増やすだけでなく、施工の生産性を高める研究開発も進行する。その中心舞台はクワッドアクセルを管理する「管制室」だ。
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「従作業」の自動化抜きに高速施工は実現せず、型枠設置と製造・運搬
成瀬ダムの現場で大量の重機を自律運転させて構築しているのは、ダム堤体の中心を担うCSGの構造体だ。しかし、堤体を完成させるためには、その作業だけでは完結しない。24時間体制で計画的に「主作業」を進められる自律運転の効率を下げないためにも、関連する「従作業」の作業速度を高めていく必要がある。
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重機の賢さに頼らない機械連係がミソ、多重機の自律運転
鹿島が開発を進めるA4CSEL(クワッドアクセル)の真骨頂は、異なる種類の重機を連係させて自律運転している点と、重機の台数が多数に及ぶ点にある。その運転制御の頭脳に迫った。
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ブルドーザー自動化の裏にAI、複雑な作業も可能に
複数の重機を自律運転させて建設現場を“工場”に変える。そんな目標を掲げた鹿島が取り組んだブルドーザーの自動化では、シミュレーション技術を駆使した。デジタルとリアルの検証を組み合わせながら確立した自律運転の開発の裏側を見る。
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