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 ドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン、VW)は2021年9月6日(現地時間)、価格を2万ユーロ(1ユーロ=130円換算で260万円)まで抑えた小型の電気自動車(EV)を25年に市場投入すると発表した。

 量産する小型EVの方向性を示すコンセプト車として、「ID. LIFE」を「ミュンヘンモーターショー2021(IAA MOBILITY 2021、一般公開日:21年9月7~12日)」で世界初披露した(図1)。都市部での利用を想定した車両で、考え方はホンダの小型EV「Honda e(ホンダ イー)」に近い。

図1 VWが発表したコンセプト車「ID. LIFE」
図1 VWが発表したコンセプト車「ID. LIFE」
車両寸法は、全長4091×全幅1845×全高1599mmで、ホイールベースは2650mm。航続距離はWLTCモードで400kmである。(出所:VW)
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 VWの乗用車ブランドでCEO(最高経営責任者)を務めるRalf Brandstaetter(ラルフ・ブランドシュテッター)氏はミュンヘンモーターショー2021で開いた記者発表会で、「(VWグループのブランドである)『CUPRA』や『Skoda』とプラットフォーム(PF)を共用することでコストを低減していく」と語った(図2)。

図2 VWの乗用車ブランドCEOのRalf Brandstaetter氏
図2 VWの乗用車ブランドCEOのRalf Brandstaetter氏
ミュンヘンモーターショー2021で記者発表会を開き、小型EVを投入する計画を説明した。(出所:VW)
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前輪駆動にしたワケ

 ID. LIFEは、VWのEV専用PF「MEB(Modular electric drive matrix)」のうち、小型車向けバージョンを採用した。最大の特徴は前輪駆動である点(図3)。MEBを適用する車両ではID. LIFEが初めてだ。「ID.3」などMEBを使うCセグメント以上の車両は後輪駆動が基本。後輪側にモーターやインバーター、減速機を一体化した電動アクスルを搭載していた。

図3 ID. LIFEは前輪駆動
図3 ID. LIFEは前輪駆動
小型車向けのMEBを初採用した。(出所:VW)
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 ID. LIFEが適用した小型車向けMEBは、Bセグメント以下の車両への適用を想定する。前輪駆動にしたのは、後部座席の空間や荷室容量を確保するためだ。フロントフード下に電動アクスルを配置することで後輪側のスペースを空けた。

 後輪駆動のID.3は、フロントフード下に統合型の熱マネジメントシステムを備える。VWに25年が発売する小型EVはコストを優先するため、ID.3とは異なる熱マネジメントシステムを採用する可能性がありそうだ。

 ID. LIFEの車両寸法は、全長4091×全幅1845×全高1599mmで、ホイールベースは2650mm。床下に容量57kWhのリチウムイオン電池を搭載し、航続距離はWLTCモードで400kmである。

 前輪側に配置した駆動用モーターの最高出力は172kWで、最大トルクは290N・m。停止状態から100km/hに達する時間(加速性能)は6.9秒となっている。最高速度は180 km/hである。

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