ドイツPorsche(ポルシェ)が、電気自動車(EV)の高電圧化に力を注いでいる。電池電圧を従来の800Vから900Vに高めた競技用EVのコンセプト「Mission R」を発表した。充電時間を短縮できる。「(1車種で競技する)ワンメークレースの将来を見据えたもの」(同社)と位置付け、2024年までの実用化を目指す。
電池電圧を900Vに高めることで、電流を抑えられる。電線径を小さくしながらも最大340kW程度という高出力で充電できる。82kWhの大容量電池を搭載するが、充電状態(SoC)で5%から80%まで充電するのにかかる時間は15分と短いとする。
ポルシェが販売中のEV「Taycan」の電圧は800Vで、これでも一般的なEVの400Vに比べて倍になる。今回ポルシェは900Vに高めることで、充電時間の短縮に加えて連続動作時間の延長や軽量化をさらに図れるという。
駆動モーターを前後に2基搭載した4輪駆動車。モーターの固定子を油で直接冷却する新技術を開発したことで、モーターの温度上昇に伴う性能低下を防いだという。前輪モーターの最高出力は320kW、後輪は同480kWに達する。
車両の出力は、走行時間の短い予選モードで最高出力800kW、最高速度は300km/h以上。ただし長時間走ることを想定したとみられるレースモードでは500kWに抑える。車両寸法は長さ4326mm、幅1990mm、高さ1190mm、ホイールベースは2560mmである。車両質量は約1500kg。