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 4月の人事異動で管理職になる人も多いでしょう。昇進は基本的にめでたいことだと思いますが、筆者の元には「管理職になるのが憂鬱だ」という声もちらほら届いています。

 実際、日本の会社員の管理職志向は低いようです。パーソル総合研究所が2022年11月8日に発表した「グローバル就業実態・成長意識調査(2022年)」によれば、日本で「管理職になりたい」と思っている人の割合は19.8%にとどまります。

 これは調査対象となった18カ国中、最も低い値です。1位のインド(90.5%)や2位のベトナム(87.8%)のように、ほとんどの人が管理職を志向している国とは対照的な結果です。

 管理職になりたくないと感じている理由は何でしょうか。ビズヒッツが2023年2月3日に発表した「【管理職になりたくない理由ランキング】男女500人アンケート調査」では、理由の1位は男女ともに「責任が重い」でした。「仕事・残業が増える」(女性は2位、男性は3位)、「割に合わないと感じる」(男性は2位、女性は4位)などと答えた人も多くいました。このほか「人間関係で悩みそう」「管理職に向いていない」などの答えが目立ちます。

管理職の愚痴は要注意

 会社員がこのように感じてしまうのはなぜでしょう。筆者は、既に管理職になっている人の言動が大きく影響していると考えています。

 ビズヒッツの調査で挙がった「責任が重い」「仕事・残業が増える」「割に合わないと感じる」などの言葉を、部下の前で無意識に発している管理職はいませんか。愚痴をこぼすのは構いませんが、管理職のひと言の影響力は大きいということを意識する必要があります。

 部下は管理職の愚痴を聞いています。受け狙いで自虐ネタを話し、その場は冗談で済んだとしても、部下にとっては「管理職はつらい」という刷り込みになってしまいます。こんな愚痴を仮に毎日のように聞いているとすれば、管理職などという仕事は途方もなく大変で引き受けないほうがよい、と考えるようになるのも当然です。

 管理職の大変さは筆者も理解しているつもりです。しかし、毎日愚痴をこぼさなくてはいけないほど大変なものでしょうか。厳しいと思われるかもしれませんが、あえてツッコミを入れてみましょう。