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 「人が足りない」という悩みを抱える職場はたくさんあります。なぜ常に人が足りないのでしょう。どうして自分の部署には人が配属されないのでしょうか。

 部署によっては、新入社員が配属されるでしょう。待ちに待った期待の新人ですから、こまめにコミュニケーションしてモチベーションを引き出し、しっかり成長させてあげてください。最初は手間がかかっても、そのぶん成長してくれれば結果的に指導役も楽になります。

 ただし、新人が一人前の働きをしてくれるようになるにはそれなりの時間がかかります。それまでの間は、既存の人材を融通して人手不足を解消する必要があります。

「明るく元気な人が欲しい」と言われても

 筆者は会社員時代、人事責任者として日々他部署の担当役員から「人が足りないのに、回してくれないのか」「誰かいないのか」と言われ続けていました。揚げ句の果てに「余っている人がいるなら誰でもいい」と言う人もいました。

 しかしいざ社員をその部署に配属してみると「なんであんなヤツをよこすんだ」「うちの部署だけ適当な異動をさせたんだろう」と言われる始末。「使えないヤツばかりよこすな」と叱られたことは数知れません。「社員を“ヤツ”などと言っている時点で不人気部署ですよ」と言いたい気持ちを抑えていました。

 人事責任者からすると、こうした部署の要望に応えられないのには理由があります。「人が欲しい」というわりに、どんな人が欲しいかをきちんと認識できていないのです。

 社内でよく繰り広げられている会話を紹介しましょう。

部下 「人が足りません。課長、なんとかしてください」
課長 「いやいや、部署内ではなかなか人がいなくて……。部長に言っておくから」

課長 「部長、人が足りません、増員しないとみんな辞めてしまいます」
部長 「それは困った。分かった、人事に言っておくよ」

部長 「アマガサ、なんとか人を増やしてもらえないか」
筆者 「増やしてほしいといっても、どんな人ですか」
部長 「とにかく、明るくて、元気で、辞めない人」

 部長であれば、求めている人がどんな人なのかもう少し詳しく話してほしいものです。「人材要件は〇〇」という表現は難しくても、必要な能力や性格などを具体的に説明することはできるはずです。

 それができなければ、人事部門も要員計画を立てにくいのです。中途採用すべきなのか、社内異動がよいのか、新人が向いているのかも分かりません。