また同期が1人転職する。自分もそろそろ転職したほうがよいのか、それとも今の会社にとどまるべきなのか――。
転職をぼんやりと考えつつも、気持ちの踏ん切りがつかないという人にこれまで多く会ってきました。こうした人から、10回の転職経験を持つ筆者は「どうやって転職を決断したのか」と尋ねられることがあります。
筆者はこれまで、さまざまな規模や業種の会社で働いてきました。その中には、スタートアップや経営再建中の会社もありました。非常識的な業務フローや労働条件をはじめ、驚くような事態に直面した経験はいくつもあります。しかしそれらは会社を辞める原因にはなっていません。
筆者の場合、「いつ辞めようか」と非常識な状況に我慢を重ねて退職に至ったことはほとんどありません。多くの場合、「もうこの職場とはサヨナラしよう」と思う瞬間は突然やってきました。それは「自分がどうしても受け入れられない価値観に触れたとき」です。
筆者にとってどうしても受け入れられない価値観はごく少ないのですが、いざ出合うと許容できません。それまで自分が一生懸命働いてきたことも「無駄だった」と感じてしまい、その場所で働き続ける意味を見いだせなくなります。
上司のひと言で退職を決意した
一例をご紹介しましょう。ある人材系のコンサルティング会社で働いていた30代の頃のことです。