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 少し前に「45歳定年」という言葉が話題になりました。50歳以上を対象に早期退職者を募集する企業も相次いでいます。40代、50代への風当たりが強くなってきているのは確かでしょう。

 筆者も、「早期退職制度にほとんどの仲間が応募して、残る同僚は2~3人。自分も退職しなくてはならないのか」「若手が多い職場に異動になって、自分がいるだけで申し訳なくなる」といった痛切な声を聞きます。特に今は、真面目にコツコツ働き、地道に成果を残している40~50代ほど、自分を責めているように感じています。

 では本当に、40~50代は会社を辞めるべきなのでしょうか。筆者は決してそうは思いません。

フリーライダーに居場所がなくなった

 まず、なぜベテラン社員への風当たりが強いのか整理します。よくある批判が「フリーライダー」です。日本語に直すと「ただ乗り社員」といったところでしょう。

 給料に見合う仕事をしていないにもかかわらず、在籍年数が長いだけ、過去に大きな貢献をしたというだけで、大きな態度をとっている。現在は社業に貢献していないのに、年齢と共に上がった給与を安定的にもらっている。こうした人物像が浮かびます。終身雇用、年功序列が批判される際にも、フリーライダー化する社員の問題が取り上げられます。

 この話題は今に限ったことではなく、30~40年前から指摘されています。しかし当時は、企業もフリーライダーを雇用しておく余裕がありました。やる気がなく、適当にデスクに座っているだけでも、何かしら仕事があるという状態をつくれていました。

 何もしないで高給をもらう社員をやゆする、「Windows 2000」という言葉も生まれました。「窓際族なのに年収2000万円」を意味します。つい最近まで、こうした状況はいろいろな会社で見られました。

 しかし、企業間競争の激化や業務効率化の進展によって、社員一人ひとりの役割・責任は大きく変化しました。Windows 2000と呼ばれた人たちも、さすがに居場所がなくなってきました。

 さらに今は、本人にやる気があっても、給与に見合った成果が上げられない状況に陥ることがあります。以前と異なり、入社以来磨いてきた仕事のスキルがあっという間に役に立たなくなってしまうことが増えてきたからです。自分も意識していないうちに、フリーライダーと呼ばれるような存在になってしまうことはあり得ます。