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 「むむ、何かおかしい。これまではただ愚痴をこぼしているだけの人だったのに」。最近、企業の採用担当者と会って驚くことが増えています。

 採用担当者からは、顔を合わせれば「誰かいい人はいませんか」という声を聞きます。これ自体は昭和の時代から続いていることですし、人事担当者だけでなく経営者や現場の社員からも聞かれる言葉です。

 ただこれまでは、仕事が進まないことに対する愚痴の代わりでもありました。筆者からすると「本当にそう思っているのか」と疑問に感じる面もあったのです。「本当に人を紹介したとして、面接をする気があるの?採用枠をきちんと確保しているの?」と尋ねると、そこまで本気で検討しているわけではない、予算は取っていない、という答えが返ってきていました。

 もちろん本人には「誰かいい人がいれば会いたい、要件が合えば採用したい」という気持ちはありますし、実際に採用につながることもあります。しかし「いつまでに何人採用しなくてはならない」といった明確な目標がなく、具体的な動きにならないケースが大多数でした。

 それが今夏を過ぎたあたりから、「採用枠も予算も確保しているので、人材を探してほしい」と相談されることが増えていきました。筆者は「本気ですか?」という問いを一度はするのですが、どの企業も過去にないほどの真剣さです。

 社会人何年目くらいですか?求める専門性は?といった筆者の質問にも、明快な答えが返ってきます。冒頭のような驚きを覚えながら、いまだかつてないほど採用意欲が高まっていることを実感しています。

どんな企業で働きたいか答えられない

 一方で、転職者側の動きはどうでしょうか。ボランティアで転職相談に乗っている筆者の立場からすると、転職者側にも1つ驚くような傾向が見られます。

 それは「全く準備をしていない転職者」の存在です。「どんな業界で働きたいのですか」と尋ねても、漠然としていて具体的な希望がない人が増えています。