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 人事評価面談の季節が近づいてきました。人事評価を伝えられる部下だけでなく、伝える側の管理職も気が重いかもしれません。特に、低い評価は伝えにくいものです。

 普段から不真面目な部下ならまだしも、真面目に仕事に取り組んでいるにもかかわらず成果を出せず、やむを得ず低い評価になってしまった部下には、どう伝えたらよいか悩みます。真摯に部下と向かっている管理職ほど、真剣に面談の準備をし、どう伝えてどうフォローするかを一生懸命考えるでしょう。

 筆者はクライアント企業に依頼されて、管理職向けの人事評価研修を実施することがあります。低い評価の伝え方についてもよく質問されるのですが、その際に申し上げるのは「評価の段階になって不安になるのは、伝えられる側である部下の状況を理解できていないからではないか」ということです。

 目標をしっかり部下と共有し、その達成のために上司としてどう関わるかを事前に打ち合わせて半年なり1年なりを過ごしたとします。その結果評価が悪かったとしても「自分も力不足だった、あなたももう少しここを頑張ってほしかった」と率直に伝えられるのではないでしょうか。

 期初に「頑張れ頑張れ、見守っているよ」と声をかけるだけでは、管理職として役割を果たしているとはいえません。目標を達成するためにどのようなアプローチが必要かを話し合って初めて、管理職の役割と部下のすべきことが明確になります。

 常に管理職が手厚いサポートをすべしというわけではありません。独力でチャレンジする力を育てるために、あえて放任する場合もあります。ただしその際も「今年はあまり口を出さないから自分で責任を持って遂行してほしい、設定した目標は現状の等級よりも1つ上のレベルなので失敗しても問題ない」といったように、目標や目的を明確にしたうえで、管理職としての関わり方を共有することが大切です。

 つまり評価時よりも、目標を設定するタイミングが重要になります。しかし実際には、評価のほうを重視している企業が少なくありません。評価面談の際に部下の不満が一気に噴き出すからでしょう。筆者に対して目標設定よりも評価に関する研修の依頼が多いのもそのためだと考えられます。しかしその部下の不満の多くは、目標設定時に認識のすりあわせができていないことに起因しているのです。

 ですから筆者は企業から講師を依頼されると、「目標設定8割、人事評価2割研修」という名前で研修を実施しています。受講者には、目標設定の際に管理職・部下の双方がすべきことを明示するようにお願いしています。