「起業しようと思うんだけど、どうかな?」――50代からこんな相談を受けることはよくあります。自社で早期退職者の募集が始まったことなどを契機に、転職だけでなく起業を考え始める人は多いのです。
そのうちの1人、ヒゲさん(仮名)についてはこれまでも何度か取り上げてきました。早期退職後に海外移住したものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響で帰国。悠々自適の海外生活を送るはずが、思いもよらず日本で無職生活がスタートしました。
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ひと言でいえば、「新人スキル」です。新入社員研修で教わったようなビジネスの基本動作がきちんとできているのです。それが多くの人から信頼を得て、次々に仕事を頼まれることにつながっていると筆者は分析しています。
「10分前行動」を徹底
まずヒゲさんは、必ず時間を守ります。ただ守るだけでなく、必ず打ち合わせの1時間前に確認のメッセージを送ってきます。朝一番の打ち合わせのときは「早朝からちょっとうっとうしいな」と思うこともありますが、筆者にとってもありがたいリマインドになっています。
よく知らない相手との打ち合わせは、約束した時間と場所に相手が現れるか、多少なりとも不安を覚えるものです。ヒゲさんのように事前に確認の連絡をくれると、安心して打ち合わせに臨めます。
そしてヒゲさんは、ほぼ「10分前行動」が徹底されています。筆者とヒゲさんとの打ち合わせはオンラインが多いのですが、ログインも筆者より遅かった試しがありません。必ず先にミーティングルームに入って待っていてくれるので本当に安心できます。
こうした事前準備や確認の習慣は、ヒゲさんが新人時代に刷り込まれたもののようです。50代になってもこのような基本がしっかりしているのは、個人事業主として活動するうえでとても重要なことだと思います。
絶妙な資料を用意する
約束をきちんと守れるのも、ヒゲさんの良いところです。例えば「次の打ち合わせまでに○○の資料をヒゲさんが用意する」と決まったら、必ず用意して事前に送ってくれます。仕事を依頼する側からすると、頼んだことが確実に遂行されるので安心感があります。
その分量がまた絶妙です。資料が多すぎると他のメンバーに心理的負担がかかりますし、少なすぎると「本当にやる気があるのか」と不安になります。ヒゲさんの資料は多すぎず少なすぎず、ポイントが適切な分量にまとまっています。
ヒゲさんは頼まれていない資料もつくります。その1つが議事録。打ち合わせで決まったことを簡潔にまとめて、参加者に送ってくれるのです。