優れた製品・技術の裏側には、いつの時代も開発者の奮励努力が存在してきた。しかし、それは決して順風満帆なものではない。そびえる数多(あまた)の壁に挑んだ先に、待ち受けるのは成功か挫折か――。開発者を主人公としたストーリー記事でお届けする。

開発ストーリー「令和版」
目次
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ブリヂストン「苦難連続」EVタイヤ試験、BMWに供給なるか
(後編)
「ドイツBMWが新型電気自動車(EV)を開発するようです」――。2008年冬、ブリヂストン欧州拠点から得た情報に、元F1タイヤ技術者の桑山勲(現在、次世代技術開発第1部上席研究主幹)は歓喜した。うまくいけば、燃費(電費)性能の向上を狙って開発中の大径・幅狭タイヤの実用化につなげられる。そんな期待を…
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ブリヂストン「腐らなかった」元F1タイヤ技術者、EVで躍動
(前編)
カーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)の実現に向けて投入が進む電気自動車(EV)。この巨大な新車需要を狙い、ブリヂストンが攻めに出る。EVでの採用実績がある環境タイヤ技術を2030年までに全乗用車タイヤの9割まで拡大。急速なEVシフトに対応する。そんな同社が手掛けるEVタイヤの原点は、1…
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キヤノン「引き下がれない」、視線入力AF復活 逆転の小型化
(後編)
「視線入力AF(自動焦点)を搭載しない開発日程を出してみてくれないか」。2020年春。突然の相談に、新型フルサイズ(35mmセンサー)ミラーレスカメラ「EOS R3」開発責任者の清田真人(キヤノンイメージコミュニケーション事業本部部長)は頭を抱えた。政府が発令した「緊急事態宣言」下、21年夏に開催…
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キヤノン「渾身」、新ミラーレス開発物語 復活の視線入力AF
(前編)
キヤノンが勝負に打って出る。デジタル一眼レフカメラで長らく「王座」に君臨する同社だが、売れ筋のミラーレスカメラではソニーに先行を許してきた。逆転への一手として2021年11月下旬に投入するのが、渾身(こんしん)の新型フルサイズ(35mmセンサー)ミラーレスカメラ「EOS R3」。現ラインアップでは…
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ヤマハ発「一発合格ならず」の軽量ホイール実現、背水の陣で挑む
(後編)
ヤマハ発動機の大型主力モデル「MT-09」向け軽量ホイール開発。末永健太郎(同社PT技術部第1製技G鋳造技術)らプロジェクトチームは、製造現場の協力を得てついに専用アルミ合金の開発に成功した。だが、2017年後半。ホイール設計に移ろうとした末永らに車両の開発日程という新たな壁が立ちふさがった。
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ヤマハ発「前代未聞」の2輪ホイール開発、新工法で0.7kg軽量化
(前編)
「こんな成分調整は前代未聞だ」――。社内でこういわれたバイク用軽量ホイールがついに量産に至った。手掛けたのはヤマハ発動機。2020年末に欧州で発売し、21年7月に日本投入した大型主力モデルの新型「MT-09」に初搭載。前後輪合わせて0.7kgの軽量化を実現した。アルミ合金の使用量も約1割減らせたこ…
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EV電費を1割向上 ブリヂストン、驚異の「隠れミゾ」設計に迫る
世界首位を争うブリヂストンは競合を突き放す一手として「EVバス専用タイヤ」の開発を進め、試作タイヤで実証実験に参画した。2020年秋、横浜市を走る路線バスに装着。接地面(トレッド)に施した驚異の「隠れ溝(ミゾ)」設計により、転がり抵抗を2割下げ、EV電費の1割向上を実現した。航続距離の延長に貢献し…
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いすゞ・ユーグレナ、苦節6年のバイオ燃料開発 潤滑性能が壁に
(後編)
いすゞ自動車とユーグレナのバイオ燃料開発。2013年1月、いすゞ社内コンテスト後のアプローチによって両者は出会い、その後、実現に向けて急激に議論を加速させる。そんなある日、ユーグレナ技術開発陣の「軽油からの完全置き換えを目指す」という言葉に対し、いすゞの小林寛(同社コーポレートコミュニケーション部…
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「エンジン試験やらせてください」 いすゞ・ユーグレナの逆転劇
(前編)
2020年4月1日。あるプロジェクトによって生まれたバイオ燃料を積み、1台のバスがさっそうと走りだした。石油由来のディーゼル(軽油)と同等の性能を持ち、将来的には環境負荷の7~8割減を狙える同燃料。電動化以外の環境対応策として貴重な選択肢の1つになる。手掛けたのは、商用車大手のいすゞ自動車とバイオ…
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ソニー執念の小型化、「着るクーラー」が産声を上げるまで
「これじゃ駄目だ。使ってもらえない」――。初めての試作機はなんの称賛も得られぬままお蔵入りとなった。その後、「全設計やり直し」の大変身を遂げて二回りの小型化を実現。ついに製品化までこぎ着けた。そんな逆転劇の主役は、ソニーが2020年7月1日に発売した「REON POCKET(レオンポケット)」であ…
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ヤマハ発「競合に苦戦」のEVモーター、勝負の軌道修正
(後編)
ヤマハ発動機の卓越したエンジン技術者ではあるが、駆動用モーター開発については“素人集団”も同然だった原隆(現在、同社AM第2技術部の部長)ら開発チーム。地道な全国行脚で専門家から技術を学び、ついに最高出力35k~200kWの範囲で小型・軽量の駆動用モーターを開発受託できる体制を整えた。だが2020…
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ヤマハ発「奮闘」EVモーター開発、素人集団の底力
(前編)
「バイクのヤマハ」「エンジンのヤマハ」――。こう称されてきたヤマハ発動機が、世界的なカーボンニュートラル(温暖化ガスの排出量実質ゼロ)の機運拡大を追い風に変貌を遂げようとしている。2020年、電気自動車(EV)向け駆動用モーターの開発受託を開始。21年4月には、最高出力350kWの高性能モーターに…
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