全2960文字
PR

 楽天グループが直面している課題は大きく2つある。1つは今後必要な資金の確保にどうめどをつけるかだ。

 同社はこれまでも、財務負荷を緩和しながら設備投資を継続するための大規模な資金調達策を矢継ぎ早に繰り出してきた。例えば2021年3月には日本郵政やテンセント子会社などから総額2400億円の出資を受け入れた。2021年4月には同社初となる外貨建てでの永久劣後債を発行した。ドル建てとユーロ建てで発行総額は約3200億円だ。

 にもかかわらず、2021年7月には格付け会社S&P Global Ratingsが楽天グループの長期発行体格付けを「トリプルBマイナス」から投機的水準となる「ダブルBプラス」に1段階引き下げた。設備投資の負担や競争激化を背景に、2022年12月末にかけて非金融事業の財務基盤が大きく悪化すると判断したためだ。

 楽天グループの財務基盤を巡っては、多くの株式市場関係者から「2022年も数千億円の追加資金が必要になりそうだが、どのようにしてめどをつけるのか」と指摘する声が上がる。想定される資金調達手法は不採算事業の売却や有力事業のIPO(新規株式公開)、割賦販売した携帯電話端末の債権流動化など多岐にわたるが、楽天グループはどう動くのか。

 もう1つの課題は、楽天モバイルの黒字化に相当の顧客獲得が必要になりそうな点だ。モルガン・スタンレーMUFG証券の津坂徹郎株式アナリストの試算によれば、KDDIに支払うローミング費用の軽減を踏まえ、ARPUを2000円程度とした場合で約1700万件になるという。

 楽天モバイルは2021年8月23日、自社設備による携帯電話事業とMVNO(仮想移動体通信事業者)事業の合計契約数が500万を突破したと発表した。堅調な集客ペースといえるが、それでもクリアすべきハードルは高い。