全1677文字
PR

 「もうすぐ発表することになろうが、かなりの規模で使わせてもらう」

 楽天モバイルの矢澤俊介副社長が自信ありげに語るのは、同社が郵便局で展開する携帯電話の販売カウンター「楽天モバイル 郵便局店」についてだ。同社と日本郵便は2021年6月から期間限定で、東京など首都圏に10拠点をオープンした。9月に入って4拠点に縮小していたが、ここにきて規模を拡大するという。この数カ月の成果について「かなり良い反応を得ている」(同氏)と強調するが、どうなるか。

多くの人が行き交う郵便局の前に立つ楽天モバイルののぼり
多くの人が行き交う郵便局の前に立つ楽天モバイルののぼり
(撮影:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

郵便局のデジタル化狙う日本郵政と思惑合致

 そもそも楽天モバイルのサービスは、1社当たり2000店規模の携帯ショップを展開する携帯大手と異なり、オンライン上で完結するものがほとんどだ。消費者は同社サイトで契約を申し込み、顧客サポートも基本的にオンラインチャットを通じて受ける。楽天モバイルの実店舗もあるにはあるが、サービス内容はオンラインと変わらないのが実態だ。

 このような事情から、楽天モバイルに比較的疎遠だったのがパソコンやスマートフォンの操作に慣れていない高齢者層などだ。こうした層との接点をいかに増やし契約数の上積みにつなげられるかは、同社が携帯大手に伍(ご)していくうえで重要課題の1つとなってきた。

 そこで目を付けたのが、全国に約2万4000局もある日本郵便の郵便局ネットワークだ。携帯大手に比べ体力の劣る楽天モバイルが進出しにくい地方に強く、日本郵便に対する高齢者層の信頼も厚い。これまで縁遠かった、さまざまな潜在顧客を一気に開拓する起爆剤になる、と楽天モバイルは期待している。

 一方の日本郵便とその親会社の日本郵政グループにとっても今回の施策は「渡りに船」となる。

 同グループは近年、収益の柱だったゆうちょ銀行やかんぽ生命保険の不振が続く。背景には低金利の長期化に加え、2019年に発覚したかんぽ生命保険の不適切販売問題の影響がある。同グループは既にゆうちょ銀行やかんぽ生命保険への出資比率を引き下げる方針であり、新たな収益源を確立するには郵便局のデジタル化を進めて「稼げる拠点」に変えていく取り組みが不可欠となる。