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 この不思議な感覚はなんだろうか。iPhone 13 Proの発表イベントを見て「あまり進化していない」と感じた。2020年10月のiPhone 12 Proのほうがはるかに大きな進化を遂げたような印象だった。しかし、発表動画の内容を冷静に振り返ると、カメラ機能において、77mm望遠、ProResビデオ対応(年内予定)、超広角によるマクロ撮影、シネマティックモードなど、実は恐るべき進化を遂げている。

 1秒考えてその理由が分かった。デザインだ。iPhone 11 Proは角が丸かったが、12 Proでは、iPhone 4やiPhone 5シリーズの系譜を受け継いで角張ったデザインがよみがえった。iPhone 13 Proは、デザインをそのまま踏襲しているので、変わった感じがあまりしない。見た目だけでいうなら「iPhone 12S」だ。

iPhone 13 Proの画像。iPhone 12 Proのデザインを踏襲してるので、見た目の新鮮さはない。「iPhone 12S」といった趣だ。
iPhone 13 Proの画像。iPhone 12 Proのデザインを踏襲してるので、見た目の新鮮さはない。「iPhone 12S」といった趣だ。
(出所:アップル、以下同じ)
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 思えば、全面型の有機ELディスプレーを初搭載したiPhone Xが登場したときもは「未来がやってきた」と超絶な進化を感じたものだ。当時の筆者の手による紹介記事を読み返すと「Face ID」やノッチの付いた有機ELディスプレーに感激しまくっている。

 裏読みすれば、iPhone 13 Proはデザインを踏襲し、見た目の進化が感じられないからこそ、機能やスペック面での進化に注力したとも思える。

新製品小出し戦略に備え購入は見送り

 新しいプロセッサーのA15 Bionicは、iOS 15と相まって、驚くような処理を実行でき、便利になると予想できる。昨今のiPhoneの「賢さ」といったらハンパないことを日々使っていて感じるからだ。

 「写真」アプリ、「For You」の自動カテゴリー分けやキーワードによる検索。出先でクルマのエンジンをかけると「自宅まで○○分で到着、渋滞あり」と、頼んでもいないのに通知してくれたり、バッテリーの劣化を最小限にとどめるために充電容量を自動で制御してくれたり…。とにかく、ユーザーの行動や心理を先回りして「おせっかい」をしてくれる。

 A15 BionicとiOS 15は、このようなさりげない便利さがさらに良くなっているのだろう。考えようによっては、それだけでも「買い」なのかもしれない。しかし、今回は「買う」と即決できなかった。で、うーん、どうしようかなあ、と1分ほど悩んだ。出した結論は、家族が丸3年使っているiPhone XRを今回、「Pro」ではない「素」のiPhone 13に買い替えるというので、それを見てからでも遅くはないということに落ち着いた。

撮影後に深度エフェクトを調整できるのは、処理能力に優れた最新チップのたまものであろうか
撮影後に深度エフェクトを調整できるのは、処理能力に優れた最新チップのたまものであろうか
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 GPUのコアが少ないとはいえ、iPhone 13もA15 Bionicを搭載しているし、ちょっとだけ気になるシネマティックモードも使える。それに今回購入を控える最大の理由は、アップルの「新製品小出し戦略」に備えて資金を確保しておく必要もあるからだ。コロナ禍以後、アップルは新製品の発表を小出しにするようになった。もしかしたら、近々、M1 Macのすごい製品が登場するかもしれない。

 それに、今回同時発表された「Apple Watch Series 7」を導入することは既定路線なので、そのための資金も確保しておく必要がある。2015年5月の登場と同時に購入した初代Apple Watchをいまだに使っている筆者だが、2017年のwatchOS 4でアップデートが止まり、さすがに力不足を感じていた。2020年の新機種発表時は買い替える気満々だったのだが、コロナ禍が長引いて出かける機会も極端に減り、「まあいいや」でずるずると現在まできた。

 というわけで、今回のiPhone 13 Proについては、この秋に登場する新しいApple Watchと、近々出る(かもしれない)「M1X」を搭載したパワーアップ版MacBook Proにターゲットを絞って、9月17日の予約受付日を横目でにらみながらスルーしたい。