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 優れたIT活用事例を毎年表彰し、今回で15回目となる日経コンピュータ主催の「IT Japan Award 2021」。グランプリを獲得したカインズは、データ活用のAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)整備により、システム開発を内製かつ短期間に進める体制を整えた。準グランプリのJFEスチールは、高炉のデジタルツインを開発・活用して製鉄所の安定操業につなげた。2社の取り組みは、業界を超えてデジタルを活用を進めようとする多くの企業に参考となりそうだ。

 「お客様が買い物する前も買い物した後もカインズとつながっている状態、そして『新しい形のリアルとオンラインの融合』という当社の目指す姿に一歩ずつ近づいていく。まだまだ道半ばだが、グランプリの名に恥じないように今後も企業変革を続け、お客さまのお役に立つ企業であり続けたい」。

 カインズの高家正行社長は2021年8月18日、オンラインで開催した日経BP主催のIT経営フォーラム「IT Japan 2021」の講演で、「IT小売業」への変革の意気込みをそう語った。

 今年で15回目となるIT Japan Awardでグランプリを受賞したカインズは、2019年の中ごろからデータ活用環境の刷新に取り組んでいる。

 社内システムからデータを取り出して活用しやすいよう、社内で「部品庫」と呼ぶAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)群を整備。それを基にローコード/ノーコードでシステムを内製し、顧客向けや社内向けの複数のシステムを3カ月ほどで次々と開発。ITコストの大幅削減も目指している。

 準グランプリはJFEスチールが受賞した。最大で数億円規模の損害につながる高炉の重大トラブルを予知・回避するため、高炉の仮想モデルを構築した。加えて、過去20年分で数十万件に上る故障報告書やメンテナンスマニュアル、日報などの文書ファイルをAI(人工知能)で解析し、万一の故障時も過去の故障情報を迅速に検索できるAI検索システムを構築した。

 特別賞はきらぼし銀行、東京海上ホールディングス(HD)、三越伊勢丹、LIXILが受賞。きらぼし銀行は2020年春の緊急事態宣言下の勘定系システム統合、東京海上HDは膨大なデータを基にした新商品の開発、三越伊勢丹はオンライン接客などデジタル活用の新サービス、LIXILはゼロトラストネットワークによる2万5000人規模のテレワークの実現などが評価を得た。

 IT Japan Awardは日経コンピュータが2007年に創設。優れたIT活用事例に光を当てノウハウを共有する狙いだ。今回の審査対象は2020年5月~2021年4月に日経コンピュータと日経クロステックに掲載した事例だ。

 8月18~20日に開催したIT Japan 2021ではカインズと東京海上HDが受賞企業講演を行った。