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 システム開発やデータ分析のできるIT人材を「内製」で着々と育てている全日本空輸(ANA)。新型コロナウイルス禍の苦境から「逆襲」するため、IT人材育成と並んで車の両輪となるのがシステム基盤の整備である。

システムとデータの基盤整備、コロナ禍前に完了

 システム基盤の整備で文字通りの拠点となるのが、2016年3月に新設した川崎市内のデータセンターだ。ANAはここに日立製作所のブレードサーバー「BladeSymphony」と米VMware(ヴイエムウェア)のサーバー仮想化ソフト「VMware vSphere」を組み合わせたプライベートクラウド環境を構築した。

ANAグループの新旧データセンターの比較。新データセンターへの移転と併せ、既存サーバーを統合・仮想化した
ANAグループの新旧データセンターの比較。新データセンターへの移転と併せ、既存サーバーを統合・仮想化した
(出所:『日経コンピュータ』2019年5月2日号 p.30)
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 それ以前は羽田空港近くにあった旧データセンターで、HP-UXやLinux、WindowsなどサーバーOSの異なる150ものシステムをオンプレミスで運用していた。これらを新データセンターへの移転に伴い再編。32システムを統廃合したりパブリッククラウドに移行したりし、残りの118システムはプライベートクラウド上の仮想サーバーへと収容した。

 この再編作業は2019年1月に終えた。負荷に応じたキャパシティーの増減を柔軟にできるようにしたほか、保守にかかる負担も大幅に軽減した。

 プライベートクラウド環境へのシステム移行と併せてANAのシステム基盤整備でターニングポイントとなったのが、2018年10月に稼働した「CX基盤(当時の呼称はCE基盤)」である。CX基盤は3階層から成り、最下層を支えるのが大規模な仮想データベースサーバーである。マイレージ会員管理システムや旅客系システム、運航系システムなどに分散しているデータベースを、仮想的に単一のデータベースとして扱えるようにする目的で構築した。

ANAグループが整備した「CX基盤(当時の呼称はCE基盤)」のイメージ。複数のデータベースを束ね、単一の「仮想データベース」として扱うことで、データの分析や活用をしやすくした
ANAグループが整備した「CX基盤(当時の呼称はCE基盤)」のイメージ。複数のデータベースを束ね、単一の「仮想データベース」として扱うことで、データの分析や活用をしやすくした
(出所:『日経コンピュータ』2019年5月2日号 p.29)
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 中間層にあるのが「利用履歴」「顧客嗜好」「顧客サポート」「運航イレギュラー」といった用途ごとのマイクロサービスである。最上層には、空港係員の端末や客室乗務員のiPad、ANAのWebサイトなどとデータをやりとりするAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)群を整備した。

 新型コロナ禍前にこうしたシステム基盤の整備にめどをつけ、新型コロナ禍の2020年10月からはIT人材の内製にも着手したことで車の両輪がそろったわけだ。取り組みの成果は、早くも複数の新たなシステムとして表れている。