「せっかく時間とコストをかけて商品開発したのに、予定通りに売れない」という状況は、誰しも避けたいものです。しかし、商品開発を担うエンジニアと、営業担当者・マーケティング担当者とのコミュニケーションが十分でない会社では、そのような事態が発生しがちです。
前回は、エンジニアが営業やマーケティングの担当者を味方につけるための方法を説明しました。今回は、エンジニアがこれらの担当者から商品開発に生かせる情報をどう引き出すかを考えてみましょう。
「お金を払ってでも満たしたいニーズ」を聞き出す
商品開発に生かせる情報を聞き出す際には、「顧客は何に対してならばお金を支払ってくれるのか」「お金を支払ってでも満たしたいニーズは何か」という視点が重要です。
商品開発を担うエンジニアの多くは「顧客が欲しいものは何か」「顧客が不便だと感じていること・不満に思っていることは何か」という観点だけで考えがちです。その結果、顧客の多様なニーズを必要以上にすくい取ってしまい、あれもこれもと幅広い努力を重ねて顧客ニーズを満たそうとします。実際は重要性が低いニーズに対してまで、開発の時間とコストをかけてしまうのです。
最終的に、商品はできたけれども追加機能は無駄だったということになりかねません。幅広い機能を盛り込んだ結果、価格が上がって購入されにくくなり、目標利益率を下げて割引販売するといった状態に陥る可能性があります。
既存の製品に追加機能を加えたアップデート版を開発する場合、「顧客がお金を追加で払ってでも欲しいと思える機能」に絞ることが重要です。顧客からは様々な要望が寄せられますが、それぞれには温度差があります。「追加のお金がかからないのなら欲しい」といったレベルのものも含まれています。