来期の予算計画はしっかりと作った。しかしプロジェクトチームのメンバーや部下が期待したように動いてくれず、計画通りに実務を進められない――。リーダーを務める人なら、そんな経験をしたことがあるのではないでしょうか。
あなたがリーダーの立場なら、作成した計画をきっちりと遂行し、予算を達成したいと考えているでしょう。そのために「ゴールを示す」「担当者を明確にする」など幾つか大事な要素がありますが、それに負けず劣らず重要なのが「予算計画の遂行と予算達成の必要性を説く」ことです。
必要性を説くといっても、言い方を間違えると効果的ではなくなるどころか、逆効果になってしまいます。例えば「今、会社の収益性を好転させる必要がある」「競合企業が勢力を拡大しているから、うちも頑張りたい」のように伝えても、部下の心には響きにくいでしょう。自分にどんな影響があるかをイメージしにくいからです。これでは部下は計画の遂行にまい進してくれず、予算達成は難しくなります。
計画通りに予算を達成できるリーダーは「この予算計画を完遂できれば、これまで皆で努力してつくり上げた新サービスを世の中に広げ、多くの人の生活を改善できる。だからこの計画の遂行が必要なのだ」「この予算計画を完遂できれば、このチームが生み出す利益が大きくなり、チームメンバーに還元できるかもしれない」などと部下に語ります。
両者の大きな違いは、予算達成の必要性を説く際に「誰の目線で考えた必要性なのか」を意識しているかどうかです。予算達成に向けてチームを率いることのできるリーダーは、予算計画の遂行に対する観点が「会社や経営陣」と「現場社員」とで異なることを意識し、両方の観点を交えて部下に遂行の必要性を説きます。
予算計画の完遂は、会社にとって必要です。しかし、会社全体や経営者の目線ばかりを意識して「この予算達成によって会社の利益を増加させることが重要なのだ!頑張って働いて予算達成を目指してくれ」とリーダーが力説しても、役職が高くはない現場の社員には響きません。