「何も分かっていないのに理想論ばかり押し付けてくる」「深い考えもなく、思いつきの無理難題を部下にふっかける」。上司に対してこんな不満を抱いた経験はないでしょうか。
部下に慕われるリーダーを目指すなら、自分が不満を感じる上司を反面教師としたいものです。今回は「想像力」という観点から、ダメなリーダーにならないために意識したい思考法をご紹介します。
想像力がないリーダーと想像力があるリーダー
上司が理想論ばかり押し付けたり、やたらと無理難題をふっかけたりするのはなぜでしょう。その人に想像力がないからです。現実に実行するのはどれだけ大変なのか、どれだけ時間がかかるのかを想像できる人ならば、部下にこのような不満を持たれることはありません。
上司に求められる想像力を、筆者は「四隅の情報から、中身を想像できる力」と表現しています。想像力のないリーダーは、部下からもたらされた断片的な情報(四隅の情報)を基に、断片的なことしか想像できません。これに対して想像力のあるリーダーは、与えられた断片的な情報から、全体像や中身を想像できます。
全体像を想像できるということは、本来は必要なのに欠けている情報は何かということにも気づけます。それを部下に指摘し、必要な情報を集める能力も持っています。
想像力がないリーダーの3つの傾向
想像力がないダメなリーダーには、大きく3つの傾向があります。どれか1つだけ当てはまる人もいるし、すべて該当する人もいます。
1つ目は「あるべき論ばかりを掲げ、現場が実行不可能な目標を掲げる」傾向です。こうしたリーダーは、現在の人員・資金などを基に、現実的にできることやそれにかかる時間を想像できません。部下は、常に無理難題を押し付けられることになってしまいます。
2つ目は「本当に重要なこと(本質)を見極められず、表面的なことばかり指摘する」傾向です。例えばプロジェクトが遅延の危機にあるとき。プロジェクト全体を見通して、遅延の原因がどこにあるかを想像できません。本当にボトルネックになっていることを特定するのではなく、目に付いたことを思いつくまま指摘するだけになってしまいます。