「部下に感謝されるリーダー」というのは、あまり耳にしない上司像です。「部下に感謝されるなんて、必要ない。部下とは上下関係で結ばれていればいいんだ」と考える方もいるかもしれません。
しかし長く部下と仕事を続けるには、「部下に感謝されている状態」は重要です。仕事で厳しい局面に直面したとき、放り出さずに上司と一緒に頑張ってくれる部下は、「上司の力になりたい、上司に貢献したい」と思っている人です。こうした部下の存在は、普段から強固な関係をつくっていることの証しです。
今回は、「部下に感謝される仕事の頼み方」をご紹介します。
「自分で考えてやってみて」の奥にある意味
「自分で考えてやってみて」。よくある部下への指示ですが、部下に感謝されるリーダーとそうでないリーダーでは大きな違いがあります。
部下に感謝されるリーダーは、ゴールとそこにたどり着くための方法(答え)を自分の中に持ったうえで、部下に仕事を依頼します。「自分でやってみて」という言葉には「まずは自分自身でやってみて。困ったら聞いてくれれば、適切な方法を教えるよ。うまくいかなくても、リーダーの責任で尻ぬぐいするから、失敗を恐れずにやってみて」という意味が込められているのです。
部下は自力で取り組みながら成長の機会を得られ、自分ができないことを上司に尋ねることでその上司の手法を学ぶこともできます。一連の経験を通して、こうした機会を与えてくれた上司に感謝します。
一方の部下に感謝されないリーダーは、ゴールとそこにたどり着くための方法が分からないまま、部下に仕事を依頼します。この場合、「自分でやってみて」という言葉は「私も分からないから代わりに考えてほしい。方法を考えたのはあなただから、何かあったらあなたの責任ね」という意味を持ちます。
部下にとってはゴールも方法も分からないままに仕事をさせられるため、“むちゃぶり”されたと感じます。その結果、上司から依頼される仕事が苦痛になります。これでは上司と部下の良好な関係は構築されません。