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 エンジニアをはじめ技術系の仕事に携わる人でも、営業担当者と一緒に自社の製品やサービスを顧客へ売り込みに行く機会は増えているでしょう。営業経験が浅いぶん頑張らなくてはと、自社製品の特徴を一生懸命アピールする人も多いのですが、うまくいくとは限りません。むしろ売り込みに熱が入りすぎて空回りすることもあります。

 営業担当ではない人が商談に臨む際に意識したいのは、相手の悩みの原因になっている「ギャップ」を把握することです。ギャップと聞くと、目指すゴールと現状とのギャップを思い浮かべる人が多いのですが、そうではありません。「顧客企業が『組織として』望んでいること」と、「顧客企業の担当者が、会社のために『個人として』実現したいこと」のギャップです。

自社の製品・サービスを売り込む前に担当者の悩みを聞こう
自社の製品・サービスを売り込む前に担当者の悩みを聞こう
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 相手は同じ顧客企業ですから、組織としての考えと個人としての考えの間にギャップなどないのではと思うかもしれませんが、常に発生しています。例えば多くのビジネスパーソンが直面する「上司の説得がうまくいかない」「稟議(りんぎ)がなかなか通らない」といった悩みは、このギャップから生じるものです。

 担当者個人としては、会社の業績を伸ばすために良かれと思って新しい取り組みを提案します。しかし会社の上層部は、必要性やコスト、実現可能性など複数の面から組織としての妥当性を検討し、「認めない」という判断を下します。

 これは組織と個人のギャップに他なりません。担当者は会社が目指すゴールを見据えているつもりでも、実際には日々ギャップが発生しているのです。

相手の悩みの元になっている「ギャップ」を把握

 顧客企業との商談の機会を得たら、自社製品の説明をし続けるよりも、担当者の個人としての悩みを聞く時間をつくるとよいでしょう。組織と個人のギャップは常に存在するもので、その担当者も多かれ少なかれ悩みを抱えているはずです。単に悩みを聞こうとしても質問が漠然としてうまくいかないものですが、組織と個人のギャップを発見するつもりで話を聞いてみると具体的な話を引き出せるものです。

担当者の悩みの原因となっているギャップは何か把握する
担当者の悩みの原因となっているギャップは何か把握する
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ギャップ解消に役立つ提案をする

 ギャップが把握できたら、次のステップである自社製品の提案に進みます。ギャップを知ることで顧客に対してより深い売り込みができるようになり、自社の製品を採用してもらえる可能性も高まります。自社製品でギャップを解消できる可能性があることを説明すれば、顧客は喜んで製品の売り込みに耳を貸すことでしょう。

 効果的な売り込みの例を2つ紹介します。